歌舞伎(かぶき)舞踊。長唄(ながうた)・清元(きよもと)。本名題(ほんなだい)『再春菘種蒔(またくるはるすずなのたねまき)』。別に通称は「種蒔三番叟(たねまきさんばそう)」「志賀山(しがやま)三番叟」など。2世桜田治助作詞、伊藤東三郎・2世杵屋(きねや)正次郎作曲、初世藤間勘十郎振付け。1812年(文化9)9月、江戸・中村座で3世中村歌右衛門(うたえもん)が初演。初世中村仲蔵が1786年(天明6)に踊った『寿世嗣三番(ことぶきよつぎさんば)』を復活したもので、曲中、三番叟が大きく口をあけて舌を出す型があるところから通称が生まれた。初演は清元・長唄掛合いで、翁(おきな)も出たが、現在はそれぞれ独立して演奏され、三番叟と千歳(せんざい)の2人だけの踊りで、舟唄で船に揺られる振(ふり)や、婚礼の箇所で嫁入り道具を整える振などが見どころ。「仲蔵振」といわれる独特の型を伝え、のどかで洒脱(しゃだつ)な名曲である。
[松井俊諭]
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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