デジタル大辞泉 「掛合い」の意味・読み・例文・類語 かけ‐あい〔‐あひ〕【掛(け)合い/懸(け)合い】 1 互いに掛けること。「技の―」「水の―」2 要求などについて先方と話し合うこと。交渉。談判。「地主に―に行く」3 一つの事を二人以上が交互にすること。また、その演芸。掛け合い話、掛け合い万歳の類。「―で歌う」4 歌舞伎舞踊で、2種以上の異なった流派が伴奏音楽を交互に、あるいは同時に分担演奏すること。「喜撰きせん」での清元と長唄の掛け合いなど。5 義太夫節で、二人以上の太夫が登場人物をそれぞれ分担して語ること。6 双方が正面から攻め合うこと。「平家は定めて大勢なれば、砥浪山となみやま打越え、ひろみへ出て―の戦にてぞあらんずらん」〈平家・七〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「掛合い」の意味・読み・例文・類語 かけ‐あい‥あひ【掛合・懸合・駆合】 〘 名詞 〙① 両軍の兵力が互いに攻めかかり合うこと。[初出の実例]「平家は定て大勢なれば、〈略〉、かけあひのいくさにてぞあらんずらん」(出典:平家物語(13C前)七)② 互いに関係し合うこと。かかわり合うこと。[初出の実例]「かけあひの男に銭をさきえと手をいだす」(出典:浮世草子・好色訓蒙図彙(1686)上)③ 要求などを話し合うこと。談判。交渉。[初出の実例]「廓へはお由が理詰めの掛合(カケアイ)にて」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初)「時候の挨拶、用談、それからもっと込み入った懸合(カケアヒ)」(出典:硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉三三)④ 物事をかわるがわる行なうこと。[初出の実例]「息子どのの寝言と掛合(カケヱヘ)にギリギリ歯を咬(か)む」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)「迷亭と独仙が妙な掛合をのべつにやって居ると」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一一)⑤ 能の構成の一小段。出演者(多くの場合シテとワキ)が互いに問答のあと、拍子に合わないサシ調の謡(うたい)で応対すること。⑥ 歌舞伎舞踊で、地方(じかた)が、二種以上交互にあるいは同時に演奏すること。「喜撰」の清元、長唄の同時演奏など。かけあわせ。⑦ 義太夫浄瑠璃を二人以上の語り手が登場人物を分担して語ること。[初出の実例]「仲町の今助さんと掛合(カケアイ)で、琴責(ことぜめ)をかたりましたヨ」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)三)⑧ 「かけあいばなし(掛合話)」の略。⑨ 「かけあいぜりふ(掛合台詞)」の略。[初出の実例]「祐成(すけなり)の役をつとむるはかなつんぼ、時宗は鼻くた、かけ合のせりふ甚だ不都合にて」(出典:黄表紙・玉磨青砥銭(1790))⑩ 俳諧で、語句に二通りの意味を含ませること。かけあわせ。[初出の実例]「かけ合(カケアヒ) 心のかけ合、詞のかけ合、てにはのかけ合とてあり」(出典:俳諧・誹諧名目抄(1759))⑪ あり合わせのもの。また、あり合わせの材料で作った食事。[初出の実例]「魂祭ころ、旦那寺の小僧、棚経とてよみありく。物喰せ酒のませ、やがてかけ合に、一粒包みてやれば、まだはづかしと思へる、いとあはれなり」(出典:俳諧・本朝文選(1706)一・辞類・四季辞〈許六〉) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例