舌切り雀(読み)シタキリスズメ

  • 舌切り×雀

デジタル大辞泉の解説

日本の昔話原型宇治拾遺物語に「腰折れ」の話がみえる。心やさしい(じじ)のかわいがっていた雀が(のり)をなめたので、意地悪な(ばば)は怒ってそのを切って追い出す。爺は雀の宿をたずねて、土産に軽い葛籠(つづら)をもらって帰ると、中には宝物がつまっていた。これを見た婆は欲張って重い葛籠をもらって帰るが、それには毒虫などが入っていたという話。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

昔話。異郷を訪れて財宝を得ることを主題にした致富譚(たん)の一つ。外枠は「隣の爺(じじ)」型となり、「動物報恩譚」の要素もある。婆(ばば)が洗濯物につけるつもりでつくっておいた糊(のり)を、爺が飼っている雀がなめてしまう。婆は怒って雀の舌を切って逃がしてしまう。爺は雀の家を捜して訪ねて行く。雀の家では爺を歓待し、土産(みやげ)に小さいつづらをもらって帰る。中には宝物が入っている。婆もまねをして雀の家に行き、大きなつづらをもらってくる。中には化け物が入っている。赤本の『したきれ雀』など江戸中期以後の文献にも多くみえ、江戸時代の五大昔話の一つに数えられ、明治以後も絵本や読み物で広く親しまれている。

 古くは鎌倉初期の『宇治拾遺(うじしゅうい)物語』に、やや変化した「腰折れ雀」の話がある。昔話としても関東地方以西に分布している。腰を折った雀を婆が助ける。傷が治って飛び去った雀が、のちにひょうたんの種を一粒もってくる。種を播(ま)くと実がなる。その中から米が無尽蔵に出る。悪い婆がまねをすると、実の中から蛇が出て、婆は殺される。「腰折れ雀」の類話は、朝鮮でも「ホンブとノルブ」の話としてよく知られており、中国大陸にも広く分布している。明らかに「舌切り雀」と「腰折れ雀」とは同源である。人間が訪ねて行くか、鳥が訪ねてくるかの違いである。トルコの「猫の家」はかえって「舌切り雀」に近い。親切な女は猫の家を訪れて贈り物をもらい、悪い女は死ぬことになっており、悪い女が蛇やサソリの入った袋をもらって帰るという型もある。「猫の家」の類話はカフカスやハンガリーにもある。

[小島瓔

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

出し子

1 だし汁を取るための干した雑魚(ざこ)。煮干し。2 振り込め詐欺などの犯罪に利用された預金口座から現金を引き出す役をいう隠語。→掛け子 →受け子...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android