日本大百科全書(ニッポニカ) 「航空手荷物」の意味・わかりやすい解説
航空手荷物
こうくうてにもつ
旅客が航空機の利用にあたって自ら携行する物品、手回り品、そのほかの品。航空事業者が旅客からチェックインの際に引渡しを受け、これに対し手荷物合符(引換証、クレーム・タグともいう)を発行する「受託手荷物」と、これ以外の手荷物で航空事業者が機内への持込みを認める「持込み手荷物」とに大別される。日本での取扱い方法は、各社が作成して国土交通省の認可を受ける約款(国内線は「国内旅客運送約款」、国際線は「国際運送約款」)において規定されており、機内に持込める荷物の個数や種類やサイズ、受託できる荷物の種類などが具体的に示されている。
国内線の場合、受託・持込みともに禁止されている手荷物は、搭乗者、搭乗物に危険または迷惑を及ぼすおそれのあるもの、銃砲刀剣類、爆発物そのほかの発火または引火しやすいもの、動物(愛玩動物を除く)、遺体、荷造りまたは包装が不完全なものなどである。
国際線の場合、受託・持込みともに禁止されている手荷物は、国内線と同様の品目に加えて、国際民間航空機関(ICAO(イカオ))および国際航空運送協会(IATA(イアタ))の危険品取扱規則ならびに各社が定めた物品など、航空機、人命または財産に危険を及ぼすおそれのあるものや、出発国、到達国、通過国の適用法令によりその運送が禁止されている物品などである。なお、付帯サービスとして、宅配便事業者との連携により、目的地の空港に到着後の受託手荷物の配達を別料金で実施している航空事業者が、国内線、国際線ともにみられる。
一方、LCC(格安航空会社)は、機内持込みを厳しく制限し、受託手荷物を全面的に有料化することによって、附帯収入の増大を図っている。
[齊藤基雄・戸崎 肇 2023年4月20日]