日本大百科全書(ニッポニカ) 「船型試験」の意味・わかりやすい解説
船型試験
せんけいしけん
船が進むときに水から受ける抵抗および推進器(プロペラ)の効率を知るために行う模型試験。水槽試験ともいう。実船と相似形の模型船を木またはパラフィンでつくり、大きな水槽で曳航(えいこう)して船体の抵抗を測る曳航試験と、プロペラをつけた模型を自力で走らせてその効率を調べる自航試験とがある。いずれも、なるべく小馬力のエンジンで所定の速力を出すための船体形状をみつけ出すための試験である。水槽は水泳プールを細長くしたようなもので、長さが50メートルくらいから400メートルくらいのものまである。その両側にレールを設け、水槽をまたいで走る台車で浮かべた模型船をつかんで引く。模型船の速力と水から受ける抵抗力を測れば、それを実船の値に換算することができる。自航試験では、モーターでプロペラを回して走る模型船を台車で追跡して、プロペラ駆動力などを測り、その効率を知ることができる。これら推進性能についてのデータが多数蓄積され、それを使って精度よく性能を計算できるようになったので、特殊な船型以外は船型試験を省略することが多くなった。また、コンピュータの発達に伴って、費用や時間がかかる試験のかわりに、すべてを理論的に計算しようとする研究が精力的に進められている。
[森田知治]