朝日日本歴史人物事典 「芳沢いろは」の解説
芳沢いろは(初代)
生年:宝暦5(1755)
江戸中期の上方を代表する若女形の歌舞伎役者。俳名香蒲,のちに巴江。3代目芳沢あやめの子。明和3(1766)年,大坂で色子として初舞台を勤め,のち若女形となった。安永(1772~81)に入ると京大坂で座本を勤めるようになり,その間江戸へも下り,次第に女形の大立者になっていった。文化4(1807)年には5代目芳沢あやめを継ぎ,没するまで上方随一の女形の地位を守った。あらゆる役をこなしたが,時代物よりも世話物に適し,ことに傾城役が得意であった。2代目は初代の子で,上方を中心に活躍していたが,さほど評判記の位が上がらないうちに,37歳で没した。
(北川博子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報