芹田郷(読み)せりたごう

日本歴史地名大系 「芹田郷」の解説

芹田郷
せりたごう

和名抄」所載の郷。高山寺本に「世利太」、東急本・刊本に「世利多」と訓ずる。遺称地は、暦応四年(一三四一)八月七日付の摂津親秀譲状(美吉文書)にみえる倉月くらつき千田せんだ(現金沢市)に注目して、現金沢市千田町とするのが一般的である。郷域は、金腐かなくさり川下流域の東西両岸にまたがる倉月庄の全庄域とする説(日本地理志料)、金腐川の東(右)岸に限定し、南東に接する小坂おさか(現金沢市)の庄域の西部も含むとする説(大日本地名辞書)、千田郷域を含む浅野川・金腐川の下流域一帯を想定する説などに分れる。信濃国水内みのち郡の同名郷について「和名抄」東急本は「世无多」と訓ずるので、当郷が中世に入って千田郷とよばれるようになった可能性もあるが、なお慎重な検討が必要であろう。


芹田郷
せんだごう

「和名抄」高山寺本に「芹田」と記し、訓はないが、流布本では「世無多」と訓じている。「せ(む)た」とよんでいたことは、ここに中世千田せんだ庄という荘園が成立していることによっても明らかである。現長野市の市街地のさい川北岸に千田という地名があり、近世は千田村といい、中千田・上千田という小字名を残している辺りが、芹田郷の本郷であろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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