苅地村(読み)かるちむら

日本歴史地名大系 「苅地村」の解説

苅地村
かるちむら

[現在地名]佐治村刈地かるち

佐治川下流部南岸に位置し、東は小原こばら村、対岸葛谷かずらたに村。集落は急峻なV字谷から南に延びる谷にあり、人家は山の斜面に点在する。西の乢越を越える道は大井おおい村への近道である(因幡志)。賀留地とも記される。中世佐治郷の開発は当村から始まり、次いで加瀬木かせぎ村に及んだといわれるため当村を「一ノ小屋」と称し、開発領主は佐治四郎と伝えられる。当地には四郎の墓所といわれる佐治四郎さじしろう遺跡があり、切明きりあけ大明神として祀られていた(因幡志)。同遺跡は佐治川に沿って張出した丘陵先端部にあり、鎌倉―室町期のものと推定される。積石基壇とその上の四尺七寸の宝篋印塔および五輪塔群からなり、墳墓上には祠・祭壇・灯籠が付設されている。

当地は佐治郷南方のうちにある。建治三年(一二七七)六月二三日の尾張忠重譲状(因幡民談記)によって「佐治郷南方地頭門田内江原田」が佐治四郎兵衛入道に譲られているが、江原は当地の字郷原ごうばらと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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