苑囿(読み)えんゆう(ゑんいう)

普及版 字通 「苑囿」の読み・字形・画数・意味

【苑囿】えんゆう(ゑんいう)

動物を畜(か)うところ。大を苑、小を囿という。また樹木に苑、禽獣に囿という。〔呂覧、重己〕昔、先王の囿園池を爲(つく)るや、以てして形を勞(ねぎら)ふに足るのみ。~王の性を以なり。

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改訂新版 世界大百科事典 「苑囿」の意味・わかりやすい解説

苑囿 (えんゆう)
yuàn yòu

古代中国において広大な範囲に禽獣を放し飼いにした自然庭園で,本来は城郊に設けられ,皇帝の巡狩(じゆんしゆ)に使用された場所であった。近代ではむしろ江南地方の高官や富庶らの私邸庭園と区別して,ひろく皇帝の所轄になる大規模な自然庭園や離宮の類を総称する。この種の苑囿としては,秦始皇帝が咸陽に造営した離宮にすでに人工的な築山をもった造園の例があり,前漢武帝の上林苑や太液池,隋煬帝(ようだい)の西苑,唐の長安にあった曲江,北宋の汴梁(べんりよう)(河南省開封)にあった金明池,元の大都の太液池などが歴史上著名。現存するものとしては,元の大都の太液池をうけついだ明・清時代の北京の西苑(三海)や清朝の北京北西郊に設けられた頤和(いわ)園,円明園などの三山五園,同じく河北省承徳(旧,熱河)の避暑山荘などがあり,いずれも広大な領域を占め,大規模な人工的造園や豪華な建築装飾を特色としている。
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世界大百科事典(旧版)内の苑囿の言及

【庭園】より

…日本芸術院会館の庭園(中島健),入谷町南公園(池原謙一郎)などがそれである。【田中 正大】
【中国】
 中国の庭園には大きく分けて,苑囿(えんゆう)と呼ばれる皇帝所有の大規模自然庭園と,貴族,官僚,豪商などの私邸庭園の別があり,両者の性格と規模は異なるが,造園の手法には共通点も少なくない。苑囿の出現は周代にさかのぼると伝えられるが,造園の事跡が確認される古代の実例としては,秦始皇帝の上林苑のほか,咸陽の離宮で渭水の水を引いて池を作り蓬萊山(ほうらいさん)を築いているのは人工的な築山(つきやま)の先駆である。…

※「苑囿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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