上林苑(読み)ジョウリンエン

デジタル大辞泉 「上林苑」の意味・読み・例文・類語

じょうりん‐えん〔ジヤウリンヱン〕【上林苑】

中国長安西方にあった大庭園。始皇帝が創設し、武帝が拡張した。周囲約150キロに及び、内に苑36、宮12、観25を設け、世界珍獣・奇草を集めたという。

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精選版 日本国語大辞典 「上林苑」の意味・読み・例文・類語

じょうりん‐えんジャウリンヱン【上林苑】

  1. ( 「しょうりんえん」とも ) 中国、長安の西にあった御苑。秦の始皇帝が創設し、漢の武帝が増築した。周囲約一五〇キロメートル。内に苑が三六、宮一二、観二五を置き、めずらしい動物や、さまざまな草花を集めたという。上林

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上林苑」の意味・わかりやすい解説

上林苑
じょうりんえん
Shang-lin-yuan; Shang-lin-yüan

中国,秦・漢代の天子の苑の名。苑とは囲いを設けて,その中で鳥獣などを養うところの意。上林苑はすでに秦代にあったが荒廃していたため,前漢の武帝がこれを修復,拡大した。長安 (西安) を中心に,周囲三百余里。その中には自然の山川湖沼森林があり,地方から献上された果樹や草木三千余種が栽培された。また宮殿七十余,農耕地も含まれていた。秋,冬には,天子は群臣を引連れて猟を行なった。後漢には,洛陽近辺に上林苑が設けられた。

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世界大百科事典(旧版)内の上林苑の言及

【苑囿】より

…近代ではむしろ江南地方の高官や富庶らの私邸庭園と区別して,ひろく皇帝の所轄になる大規模な自然庭園や離宮の類を総称する。この種の苑囿としては,秦始皇帝が咸陽に造営した離宮にすでに人工的な築山をもった造園の例があり,前漢武帝の上林苑や太液池,隋煬帝(ようだい)の西苑,唐の長安にあった曲江,北宋の汴梁(べんりよう)(河南省開封)にあった金明池,元の大都の太液池などが歴史上著名。現存するものとしては,元の大都の太液池をうけついだ明・清時代の北京の西苑(三海)や清朝の北京北西郊に設けられた頤和(いわ)園,円明園などの三山五園,同じく河北省承徳(旧,熱河)の避暑山荘などがあり,いずれも広大な領域を占め,大規模な人工的造園や豪華な建築装飾を特色としている。…

【庭園】より

…【田中 正大】
【中国】
 中国の庭園には大きく分けて,苑囿(えんゆう)と呼ばれる皇帝所有の大規模自然庭園と,貴族,官僚,豪商などの私邸庭園の別があり,両者の性格と規模は異なるが,造園の手法には共通点も少なくない。苑囿の出現は周代にさかのぼると伝えられるが,造園の事跡が確認される古代の実例としては,秦始皇帝の上林苑のほか,咸陽の離宮で渭水の水を引いて池を作り蓬萊山(ほうらいさん)を築いているのは人工的な築山(つきやま)の先駆である。前漢武帝は上林苑を拡張し,建章宮では太液池(たいえきち)中に東海神山をかたどった築山を作った。…

※「上林苑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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