デジタル大辞泉 「菅の根の」の意味・読み・例文・類語 すがのね‐の【×菅の根の】 [枕]1 スゲの根は長く伸びて分かれ乱れるところから、「ながき」「乱る」にかかる。「―長き春日はるひを恋ひ渡るかも」〈万・一九二一〉2 「ね」の同音から、「ねもころ」にかかる。「―ねもころ君が結びたるわが紐ひもの緒を」〈万・二四七三〉[補説]「根を絶つ」の意から「絶ゆ」を起こす序詞の一部にも用いられた。「かきつはた佐紀沢に生ふる菅の根の絶ゆとや君が見えぬこのころ」〈万・三〇五二〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「菅の根の」の意味・読み・例文・類語 すがのね‐の【菅根の】 枕① 菅(すげ)の根の長く乱れているところからかかる。(イ) 「長し」や「長(なが)」と同音を含む語にかかる。[初出の実例]「相思はぬ妹をやもとな菅根乃(すがのねノ)長き春日を思ひ暮さむ」(出典:万葉集(8C後)一〇・一九三四)(ロ) 「思い乱る」にかかる。[初出の実例]「いなと云はば強(し)ひめや吾が背菅根之(すがのねの)思ひ乱れて恋ひつつもあらむ」(出典:万葉集(8C後)四・六七九)② 「すが」「ね」の同音の繰り返しからかかる。(イ) 「すが」にかかる。[初出の実例]「天地の 神も 神も 証(そう)したべ 我はまうよこし申さず 須加乃禰乃(スカノネノ) すがな すがなきことを 我は聞く 我は聞くかな」(出典:催馬楽(7C後‐8C)葦垣)(ロ) 「ねもころ」にかかる。[初出の実例]「菅根(すがのねの)ねもころ君が結びたる我が紐の緒を解く人はあらじ」(出典:万葉集(8C後)一一・二四七三)③ 長い菅の根の絶えるというつづきから、「絶ゆ」の序に用いられ、ひいて、同音になった「耐ふ」にかかる枕詞として用いられる。[初出の実例]「かきつはたさき沢に生ふる菅根之(すがのねの)絶ゆとや君が見えぬこの頃〈作者未詳〉」(出典:万葉集(8C後)一二・三〇五二)「遅々たる春の終日(ひめもす)に 永き思は 菅の根の 耐ぬ涙を抑ても 暮待程ぞ苦しき」(出典:宴曲・宴曲集(1296頃)三・遅々春恋) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例