菱縫(読み)ヒシヌイ

デジタル大辞泉 「菱縫」の意味・読み・例文・類語

ひし‐ぬい〔‐ぬひ〕【×菱縫】

かぶとしころよろいの袖・草摺くさずりなどの裾板に、赤革のひもや赤糸の組ひもでX形に綴じた飾り。ひしとじ。
菱縫の板」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「菱縫」の意味・読み・例文・類語

ひし‐ぬい‥ぬひ【菱縫】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (かぶと)の錏(しころ)、鎧(よろい)の袖、草摺(くさずり)など、甲冑の各段の裾板の横縫(よこぬい)の上を、赤革の緒または赤糸の組緒で菱形に通すこと。菱綴(ひしとじ)。菱。
    1. 菱縫<b>①</b>〈集古十種〉
      菱縫〈集古十種〉
    2. [初出の実例]「乱紋、菱縫(ヒシヌヒ)、蜘蛛手、かくなは、十文字四角八方を追立て」(出典:御伽草子・秋の夜の長物語(南北朝))
  3. ひしぬい(菱縫)の板」の略。
    1. [初出の実例]「長宗が鎧の菱縫(ヒシヌイ)、甲の吹返に立所の矢少々折懸て」(出典:太平記(14C後)九)

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世界大百科事典(旧版)内の菱縫の言及

【威】より

…古く《東大寺献物帳》には貫(ぬき),《延喜式》には懸緒(かけお)と記してある。すなわち甲冑を構成するのに,小札(こざね)を端から半ば重ね合わせて並列し,下方の緘孔(からみあな)で横綴じした小札板を一段一段上下に連ねて綴じる線を威毛といい,とくに小札板の両端を通す線を耳糸,草摺(くさずり)やの裾板(すそいた)の下方の孔を横にたすきに綴じたのを菱縫(ひしぬい)と称している。 威毛の手法を大別すると,縦取威と縄目威があり(図),縦取威は小札頭の1段目と2段目の孔の表に威毛が縦に通っているもので,古墳出土の挂甲(けいこう),正倉院伝来の挂甲残欠にみられ,上代甲冑のいちじるしい特色である。…

※「菱縫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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