…古く《東大寺献物帳》には貫(ぬき),《延喜式》には懸緒(かけお)と記してある。すなわち甲冑を構成するのに,小札(こざね)を端から半ば重ね合わせて並列し,下方の緘孔(からみあな)で横綴じした小札板を一段一段上下に連ねて綴じる線を威毛といい,とくに小札板の両端を通す線を耳糸,草摺(くさずり)やの裾板(すそいた)の下方の孔を横にたすきに綴じたのを菱縫(ひしぬい)と称している。 威毛の手法を大別すると,縦取威と縄目威があり(図),縦取威は小札頭の1段目と2段目の孔の表に威毛が縦に通っているもので,古墳出土の挂甲(けいこう),正倉院伝来の挂甲残欠にみられ,上代甲冑のいちじるしい特色である。…
※「菱縫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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