朝日日本歴史人物事典 「葛野九郎兵衛」の解説
葛野九郎兵衛
生年:天正16(1588)
江戸時代の大鼓役者。本名は定利。幼名小十郎,若名勝九郎。大鼓方葛野流の祖。祖母がややこ踊りの舞手であったため,初めは「ヤヽコ」と呼ばれていたらしい(『四座役者目録』)。16歳で豊臣秀頼付きの役者として召し出されるが,のちには徳川頼宣に仕え,元和1(1615)年ともに紀州に下り,以後同藩の能役者のなかでかなりの高待遇を受ける。幕府での演能に際しても四座の役者とは一線を画した扱いであった。素人出身ながら一代で紀州家と幕府に仕えるまでになり,葛野家の興隆の礎を築き上げた。
(石井倫子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報