日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アンゲルス・ジレージウス
あんげるすじれーじうす
Angelus Silesius
(1624―1677)
ドイツのバロック神秘主義の代表的詩人。本名はヨーハン・シェフラーJohann Scheffler。ブレスラウに生まれる。ライデン、パドバで医学を学び帰郷、侍医として諸侯に仕えた。第一詩集『ケルビムのようなさすらい人』Cherubinischer Wandersmann(1657)はエックハルト的な思弁的神秘主義を、鋭い緊張をはらんだアレクサンドリア調の二行詩で歌っている。「私自身が永遠だ。時間を離れ/私を神に、神を私に統合するならば」。またここには、「なぜかを問わず、ただひたすらにばらは咲く/自ら誇らず、人の目を求めもしない」など広く愛される名句もある。1653年カトリックに改宗後の作品、『魂の聖なる喜び』Heilige Seelenlust(1657)は前作と変わって、花嫁である魂の花婿キリストへのあこがれを歌った、雅歌的な情感的神秘主義の詩集。レクラム文庫に作品抜粋がある。
[横山 滋]