デジタル大辞泉
「蔵前風」の意味・読み・例文・類語
くらまえ‐ふう〔くらまへ‐〕【蔵前風】
1 江戸時代、浅草蔵前の札差の豪奢な風俗。
2 女性の髪の結い方の一。丸髷の一種で、髷の根を高く、前後を短くして、髱を低くしたもの。江戸後期に流行。蔵前の札差の家の女性の好みから出た。のめしまるまげ。のめしまげ。
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くらまえ‐ふうくらまへ‥【蔵前風】
- 〘 名詞 〙
- ① 江戸末期、江戸浅草の蔵前の札差(ふださし)たちの、豪奢(ごうしゃ)をきわめた風俗。
- [初出の実例]「終に世の軽薄少年をして『蔵前風』と称する風に傚はしむるに至れり」(出典:一国の首都(1899)〈幸田露伴〉)
- ② 女性の髪の結い方の一つ。①の好みに合った結い方で、丸髷の一種。髷の根を高く結い、前後を短くして、たぼを低く結った丸髷。のめしまるまげ。〔随筆・守貞漫稿(1837‐53)〕
蔵前風②〈吾妻余波〉
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の蔵前風の言及
【大口屋治兵衛】より
…2代目市川団十郎と親交があり,彼が助六物を演ずるときは治兵衛の所作をまね,治兵衛も芝居の下桟敷を半分買い占めるなど,当時の歌舞伎や役者の良い援助者でもあった。また髪形・衣装,ことばづかいや行動に,ことさら奇矯で派手な蔵前風とよばれる風俗をはやらせるなど,江戸の文化史,風俗史にも名高い。67年(明和4)札差の株を伊勢屋太兵衛に売却して札差を廃業,のちの動静についてはまったく不明である。…
【十八大通】より
…幡随院長兵衛や花川戸助六の2代目を称して男だてを重んじ,遊里や芝居見物で荒い金づかいと奇矯な行動をして,市中の話題となった。蔵前本田の髷(まげ)に黒小袖を着け,鮫ざやの脇差をさし,河東節を口ずさみ大仰に歩く様は〈蔵前風〉とよばれ,最も[江戸っ子]的な風俗とされた。歌舞伎役者や音曲芸人の後援者となり,俳諧等の文芸にも大きな影響を与えたが,[寛政改革]の風俗取締りによって消滅した。…
※「蔵前風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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