薄墨(読み)ウスズミ

精選版 日本国語大辞典 「薄墨」の意味・読み・例文・類語

うす‐ずみ【薄墨】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 書いた墨の色の薄いもの。薄い墨つき。喪に関する文字の薄い墨色の意にも用いる。⇔濃墨(こずみ)
      1. [初出の実例]「まぎらはし書いたるこずみ、うすずみ、草がちに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
      2. 「うす墨で昨十九日むすめ事」(出典:雑俳・柳多留‐二二(1788))
    2. うすずみいろ(薄墨色)
      1. [初出の実例]「うすずみの裳」(出典:枕草子(10C終)二七八)
    3. うすずみがみ(薄墨紙)
      1. [初出の実例]「うすずみにかく玉章と見ゆる哉かすめる空にかへるかりがね〈津守国基〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)春上・七一)
    4. ( 色が薄黒いところから ) 蕎麦掻(そばが)きをいう女房詞。そばのかゆ。〔大上臈御名之事(16C前か)〕
    5. ( 「うすずみ(薄墨)の綸旨」の意から ) 転じて、宸筆(しんぴつ)をしゃれていう語。
      1. [初出の実例]「薄墨を持て文覚伊豆へ来る」(出典:雑俳・柳多留‐三九(1807))
    6. サトザクラの園芸品種。芽は緑色、花は白く一重咲きで直径四~五センチメートル。うすずみざくら。
  2. [ 2 ] 歌沢節。安政五年(一八五八)治伊坊作詞。歌沢次郎吉作曲。男をおもう遊女気持を歌ったもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android