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薄墨紙 うすずみがみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

薄墨紙
うすずみがみ

平安時代末期,反古 (ほご) 紙をすき直してつくった薄いねずみ色の紙で,鎌倉時代以降,綸旨 (りんじ) ,宣旨口宣案 (くぜんあん) などを書くのにもっぱら用いられた。平安時代末期,紙屋院ですき返した紙をつくったところから紙屋紙ともいわれ,また宿紙 (しゅくし) などとも呼ばれた。

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デジタル大辞泉の解説

うすずみ‐がみ【薄墨紙】

反古(ほご)を漉(す)き直した紙。墨の色が抜けていないため、薄墨色を呈する。平安末期、官営の製紙所紙屋院(かみやいん)で漉き直し、物忌みのときの奏文などに用いたが、鎌倉中期からは宣旨(せんじ)などを書くのに用いた。水雲紙(すいうんし)。宿紙(しゅくし)。紙屋紙(かみやがみ)。すきかえし。

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大辞林 第三版の解説

うすずみがみ【薄墨紙】

薄墨色をした紙。平安時代、官営の紙屋院かみやいんで漉き出された。反古ほご紙を漉き返した紙で、主として綸旨りんじ・宣旨・口宣案くぜんあんなど、天皇文書の料紙として用いた。宿紙しゆくし。すきかえし。 → 紙屋紙

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薄墨紙
うすずみがみ

平安時代の官営抄紙場である紙屋院(かみやいん)で漉(す)き出された紙の一種。故紙を漉き返した再生紙で、宿紙(しゅくし)ともいわれ、墨の脱色が不完全なためにねずみ色をしている。また、漉きむらがあるところから水雲紙(すいうんし)の名もある。初めは故人の手紙などを漉き返し、これに写経をして冥福(めいふく)を祈るのに使用されたが、やがて公文書にまで用いられるようになると、宣旨紙(せんじし)、綸旨紙(りんじし)などとよばれるようにもなった。平安末期に権力が貴族からしだいに武家の手に移り、また陸奥紙(みちのくがみ)などの優れた地方産紙が出回るようになるにつれて、紙屋院の地位も漉き出す紙の品質も低下し、薄墨紙は紙屋紙の代名詞のようになった。さらに江戸時代になると、京都の西洞院(にしのとういん)のほとりの民家で漉く下等の塵紙(ちりがみ)を意味するようになった。しかし後世には、趣味的に紙料に少量の墨汁を加えて漉いた新しい薄墨色の工芸紙も現れている。[町田誠之]

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世界大百科事典内の薄墨紙の言及

【紙屋紙】より

…すき返し紙は繊維が傷んでいるので弱く,また墨書きの色が脱色できないので薄黒く,むらのある粗紙になりやすい。そこで薄墨紙(うすずみがみ)とか,水雲紙(すいうんし)とかよばれた。本来は高級な紙をすいて,日本の製紙の指導機関であった紙屋院の紙屋紙が,粗悪なすき返しの紙の代名詞であるかのように理解されるほどになった。…

【宿紙】より

…〈すくし〉ともよみ〈熟紙(じゆくし)〉ともいう。平安時代以降,使用済みの紙や反故(ほご)紙を原料として漉(す)いた紙をさし,〈漉返し紙(すきかえしがみ)〉,また墨を含むため色が浅黒いので〈薄墨紙(うすずみがみ)〉ともいった。764年(天平宝字8)の《正倉院文書》に,生紙(きがみ)に対する加工紙の意で,〈熟紙〉として初出するが,〈しゅくし〉はこれの清読であるとする説(《古今要覧考》)や〈旧〉の意で〈宿〉の字を用いたのだとする説(《類聚名物考》)など諸説ある。…

※「薄墨紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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