薔薇園(読み)ばらえん(その他表記)Gulistān

日本大百科全書(ニッポニカ) 「薔薇園」の意味・わかりやすい解説

薔薇園
ばらえん
Gulistān

ペルシアの詩人サーディーの作品。1258年作。ペルシア散文作品のなかで最高の位置を占め、中世以来もっとも名高い道徳教訓書として、広くペルシア語文化圏で愛読されてきた。散文を主体に多くの詩が詠み込まれ、実利主義基調となっている。序文と8章からなり、王者行状托鉢(たくはつ)僧の徳性、満足の徳、沈黙の利、愛と青春などについて、興味深い逸話が簡潔、清新な文体で叙述されている。

[黒柳恒男]

『蒲生礼一訳『薔薇園グリスターン』(平凡社・東洋文庫)』

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世界大百科事典(旧版)内の薔薇園の言及

【サーディー】より

…シーラーズに生まれ,幼少の頃父を失い,当時の文化の中心バグダードのニザーミーヤ学院に学ぶ。20年以上,インドから北アフリカまで放浪し,さまざまな経験を得て故郷に帰り,《果樹園》《薔薇園Gulistān》を執筆する。とくに《薔薇園》は散文の中に韻文を交えた書で,教訓,警句,逸話,比喩の宝庫として名高い。…

※「薔薇園」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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