托鉢(読み)たくはつ(英語表記)piṇḍapātika

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

托鉢
たくはつ
piṇḍapātika

仏教僧が経文を称えながらを持って人家を回り食べ物を乞うこと。乞食 (こつじき) のこと。中国,宋時代からこの語は使われるようになった。

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百科事典マイペディアの解説

托鉢【たくはつ】

仏僧が,鉢を持ち,食物を乞うて歩くこと。乞食(こつじき)とも。その方法には厳密な規定がある。托鉢の語は中国で宋代から使用された。禅宗ではとくに重要な修行とされ,日を定め集団で托鉢に出た。

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世界大百科事典 第2版の解説

たくはつ【托鉢】

サンスクリットのパインダパーティカpaiṇḍapātikaの訳で,行乞(ぎようこつ),乞食(こつじき)などとも訳される。インドでは婆羅門(ばらもん)教などに鉢をもって在家に食を乞(こ)うことが行われたが,仏教もその風習をとり入れ,出家した僧は,厳密に定められた種々の規律に従って行乞を行い,生活の手段とした。中国や日本では主として禅宗において行われ,軒鉢(けんぱつ)と称して家ごとに喜捨を乞うていく形式と,連鉢(れんぱつ)と称して一軒一軒立ちどまることなく道を歩く様式がある。

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大辞林 第三版の解説

たくはつ【托鉢】

( 名 ) スル
pindapātika 鉢の中に物を受ける意〕
修行僧が、鉢を持って市中を歩き、他人の家の前に立って施しの米や金銭を受けて回ること。乞食こつじき。 「 -僧」 「市中を-する」
禅寺で食事の際、僧が鉢を持って僧堂に行くこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

托鉢
たくはつ

(はつ)(とくに鉄鉢(てっぱつ))を持って食物を乞(こ)うこと。乞食(こつじき)ともいう。托鉢の語は中国宋(そう)代から用いられるようになった。パーリ語、サンスクリット語ではピンダパータpiaptaといい、インドの修行者は、托鉢によって食物を得た。最初期の仏教の比丘(びく)たちは、もっぱら托鉢によって食を得たが、のちに仏教信者からの「招待食(しょうたいじき)」も受けるようになった。頭陀行者(ずだぎょうじゃ)たちは、あえて招待食を拒否し、托鉢食のみによった。現在スリランカ(セイロン)、ミャンマー(ビルマ)、タイなどの仏教国で、早朝托鉢をする黄衣の僧たちの姿がみられる。日本では、禅宗や普化(ふけ)宗などでとくに托鉢が行われ、修行の一つともみなされている。雲水(うんすい)たちは、托鉢をしながら諸国を行脚(あんぎゃ)し修行に励む。[阿部慈園]

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精選版 日本国語大辞典の解説

たく‐はつ【托鉢】

〘名〙 (pindapātika の訳。鉢に物を受ける意)
① 仏語。出家が鉢を持って食のほどこしを受けること。禅宗では特に厳重な規律を定め、修行の一環とするが、諸宗でも広く行なう。僧尼が鉢を持って経文を唱えながら各戸をまわり、米や銭などの施与を鉢に受ける。乞食(こつじき)。行乞。鉢開き。
※東海夜話(1645頃)上「朝入城中托鉢して食ふ」
② 仏語。禅寺で粥飯の時に、僧尼が鉢をもって食堂に行くこと。
※寛永十年刊本無門関鈔(17C前)上「悟上の衲僧が托鉢して法堂に下たは只ではあるまいと」 〔続伝燈録‐惟正禅師〕

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世界大百科事典内の托鉢の言及

【乞食】より


[日本]
 こじきは地方によりコジキ,モライ,カタイ,ホイト,カンジン,ヘンドなどをはじめ実にさまざまの呼び名がある。ただしコジキの呼び名がもともとは仏教僧の托鉢(たくはつ)を意味する乞食(こつじき)からきているように,その多くは本来の意味からの転用である。したがって,こじきの範囲は今日一般に考えられているよりもはるかに広く,そのさかいめもあいまいであった。…

※「托鉢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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