薙ぎ刀（読み）なぎなた

精選版 日本国語大辞典

なぎ‐なた【長刀・薙刀・眉尖刀】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 手矛(てぼこ)のように長い柄があり、刃を長く広くそらせた武器。敵をなぎ払うのに用いる。一一世紀末の後三年の役の頃にはじまり、室町中期まで盛んに用いられた。その後、従来のものより刀身が短く、そりが深く、柄の長いものが考案されて、これをなぎなたと称し、旧来のものを長巻(ながまき)と称して区別するようになった。江戸時代はもっぱら婦人の武具とされた。大長刀、小長刀、両刃長刀、小反刃長刀、鉈長刀(なたなぎなた)（筑紫長刀）、無爪鉈長刀などの種類がある。ながかたな。なぎがたな。
   1. 
      長刀①〈平治物語絵巻〉
   2. [初出の実例]「五八四十の矢みないつくして、太刀なきなたうちおりて後」(出典：九冊本宝物集（1179頃）九)
3. ② 「なぎなたなり（長刀形）」または「なぎなたぞうり（長刀草履）」の略。
   1. [初出の実例]「むかしはやりが迎ひに出る今はやうやう長刀の、ざうりをぬいで」(出典：浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡（1712頃）上)
4. ③ 「なぎなたぼこ（長刀鉾）」の略。
5. ④ ( そりかえった形またはその切りきずから連想していうか )
   1. (イ) 陰茎をいう。
      1. [初出の実例]「山法師こそごけいりをすれ、長刀を野太刀のさやにさしこめて」(出典：俳諧・犬筑波集（1532頃）雑)
   2. (ロ) 女陰をいう。なぎなたきず。
      1. [初出の実例]「巴の長刀朝比奈は潜って出」(出典：雑俳・柳多留‐九八（1828）)
6. ⑤ ＝なぎなたあしらい（長刀会釈）[ 一 ]
   1. [初出の実例]「噺に鉄炮、挨拶に長刀(ナギナタ)」(出典：洒落本・当世爰かしこ（1776）)

出典　精選版 日本国語大辞典