こも‐まくら【菰枕・薦枕】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 真菰(まこも)をたばねて作った枕。古代では菅枕や木のまくらとともに、ふつうに使われたものらしい。
- [初出の実例]「薦枕(こもまくら)あひ枕(ま)きし子もあらばこそ夜の更(ふ)くらくも我が惜しみせめ」(出典:万葉集(8C後)七・一四一四)
- ② 平安時代以降、仮寝、旅寝をたとえていう。水辺の宿りにいうことが多い。
- [初出の実例]「こも枕仮の旅寝にあかさばや入江の蘆の一夜ばかりを〈伊勢大輔〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)雑五・一一四四)
- [ 2 ] 枕
- ① こもの枕が高い意から「高」、および「たか」を含む地名や神名にかかる。
- [初出の実例]「石(いす)の上(かみ) 布留(ふる)を過ぎて 挙慕摩矩羅(コモマクラ) 高橋過ぎ 物多(さは)に 大宅過ぎ 春日(はるひ) 春日(かすが)を過ぎ」(出典:日本書紀(720)武烈即位前・歌謡)
- ② 地名「漆沼(しつぬ)」にかかる。枕をするの意で、「し」に続くという。
- [初出の実例]「天津枳比佐可美(あまつきひさかみ)高日子(たかひこ)の命の御名を、又、薦枕(こもまくら)志都沼値(しつぬち)といひき」(出典:出雲風土記(733)出雲)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「菰枕」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の菰枕の言及
【枕】より
…古くから枕をまたぐな,蹴ったり投げたりしてはいけないといわれたり,また死後も魂が枕に宿るなどと考えられてきているのもこのためと思われる。 枕の種類は多いが,主として使われていたものは木(こ)枕系と薦(こも)枕系である。木枕系は木枕,[石枕],[陶枕](とうちん),籐枕など固形の枕で,このうち中世までは木枕が多く使われていた。…
※「菰枕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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