薬徳寺(読み)やくとくじ

日本歴史地名大系 「薬徳寺」の解説

薬徳寺
やくとくじ

[現在地名]和歌山市津秦

日前国懸ひのくまくにかかす神宮南方にある。瑠璃光山普照院と号し、浄土宗。本尊薬師如来。草創については明らかではないが、「紀伊国名所図会」には当地で夜ごと光る薬師如来が見つかり、天智天皇の勅願によって堂舎が建立されたとある。鳥羽上皇が熊野御幸のとき当寺に立寄り、唐画の薬師如来を寄付したともいわれる(続風土記)。永仁三年(一二九五)三月二三日の本有真郷検田取帳並検畠取帳写(紀家蔵)に薬徳寺の田畠がみえており、少なくとも永仁年間には存在していたことがわかる。「続風土記」には、もと天台宗であったが、無住になってのち浄土宗僧蓮社元誉が来住、みや郷鎮西一派の本寺になったとある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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