朝日日本歴史人物事典 「藤原輔相」の解説
藤原輔相
平安時代の歌人。藤原長良の孫,弘経の子。経歴は不明。藤六と号したが,その由来についても明らかでない。『源順集』の一本に,その死去を惜しむ記述が天暦10(956)年の年次とともに記されており,それ以前の死去が知られる。現存する家集『藤六集』は39首すべてが隠題の物名歌で,うち1首は『古今集』に詠み人知らずとしてみえる。不明な点が多いが,機知的な戯笑歌を得意とした,『古今集』時代の注目すべき異色歌人である。後世,即興で機知的な歌を詠む説話の主人公としてしばしば藤六の名が用いられ,その系譜は輔相本人を離れて,大名のお伽衆や笑い話の世界にまで至った。
(山本登朗)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報