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源順 みなもとの したごう

百科事典マイペディアの解説

源順【みなもとのしたごう】

平安中期の歌人,文人,学者。三十六歌仙の一人。若くして日本最初の辞書《和名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)》を著した。梨壺の五人の一人として《後撰和歌集》を撰進し,《万葉集》の訓点に従った。
→関連項目宇津保物語落窪物語清原元輔曾禰好忠源為憲

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

源順 みなもとの-したごう

911-983 平安時代中期の官吏,歌人。
延喜(えんぎ)11年生まれ。嵯峨(さが)源氏,源挙(こぞる)の子。三十六歌仙のひとり。20代で日本初の百科辞典「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」をつくる。天暦(てんりゃく)5年(951)梨壺(なしつぼ)の五人のうちにえらばれ,その中心人物として「後撰和歌集」編集,「万葉集」訓読にあたった。官吏としては不遇で,晩年に能登守(のとのかみ)。永観元年死去。73歳。家集に「源順集」。

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朝日日本歴史人物事典の解説

源順

没年:永観1(983)
生年:延喜11(911)
平安時代の学者,歌人。三十六歌仙のひとり。嵯峨源氏。左馬助源挙 の子。天暦7(953)年に43歳で文章生となり,以後,勘解由判官などを経て従五位上能登守に至った。承平4,5(934,35)年ごろ,醍醐天皇第4皇女である勤子内親王の命により,さまざまな事物を分類して漢文で説明し,それに日本語の呼称を万葉仮名で加えた辞書『和名類聚抄』を編述した。これは和名を加えた百科事典として日本の辞書史上画期的なものであり,現在でも当時の日本語を知るための重要な資料として用いられる。天暦5年,内裏の昭陽舎(梨壺)に初めて置かれた撰和歌所に,清原元輔,紀時文,大中臣能宣,坂上望城らと共に召され(梨壺の五人),その中心となって『万葉集』の訓読と『後撰集』の編集を進めた。このときの『万葉集』の訓読は現存しないが,以後の訓読の事実上の出発点となった。歌人として天徳内裏歌合 など多くの歌合に出詠,しばしば判者もつとめたが,みずから馬名歌合という異色の歌合などを主催してもいる。また依頼されて屏風歌を詠むなど,専門歌人としての活躍も著しい。家集『源順集』には,双六盤歌,碁盤歌など高度に言語遊戯的な作もみられ,漢文学に詳しい学者歌人の営みとして注目される。自分自身の宮位沈滞を尾のない牛にたとえた「無尾牛歌」など現存する漢詩文も多い。また,『うつほ物語』『落窪物語』の作者とする説もある。『拾遺集』以下の勅撰集に50首あまりが入集

(山本登朗)

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世界大百科事典 第2版の解説

みなもとのしたごう【源順】

911‐983(延喜11‐永観1)
平安中期の歌人,文人,学者。嵯峨源氏で左馬助挙(こぞる)の子。43歳まで学生(がくしよう)であったが文章生となり,勘解由判官,東宮蔵人,民部丞,和泉守,能登守などを歴任した。官位の沈滞を嘆く和歌や長歌,また不遇のわが身を寓喩した漢文体の《無尾牛歌》《夜行舎人鳥養有三歌》(ともに《本朝文粋》)などが知られる。醍醐天皇第4皇女勤子内親王の命によって日本最初の百科辞典の趣の《和名類聚抄(わみようるいじゆうしよう)》(934年ごろ成立)を撰進したが,広汎な事項を分類して解説した漢文体の辞書で,万葉仮名による和名の訓みをも伴うという画期的業績でありながら,順はまだ24,5歳の学生であった。

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大辞林 第三版の解説

みなもとのしたごう【源順】

911~983) 平安中期の学者・歌人。嵯峨源氏。三十六歌仙の一人。梨壺の五人の一人として万葉集の訓釈(古点)ならびに「後撰和歌集」の撰進に参加。漢詩文は「扶桑集」「本朝文粋」などに散見。著「倭名類聚鈔」、家集「源順集」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

源順
みなもとのしたごう

[生]延喜11(911)
[没]永観1(983)
平安時代中期の歌人,文人。三十六歌仙の一人。嵯峨天皇の子孫で,挙 (こぞる) の子。従五位上能登守。「梨壺の五人」に入り,『万葉集』の訓釈や『後撰和歌集』の撰集に従事。その歌には遊戯的なものが多く,家集『源順集』には双六 (すごろく) 盤や碁盤の歌,沓冠 (くつかぶり) の歌などがみえ,『馬毛名歌合 (うまのけなうたあわせ) 』のような物名歌の自歌合もある。『天徳歌合』にも出詠し,初期の百首歌の作者の一人でもあった。『拾遺和歌集』以下の勅撰集に 50首ほど入集。承平年間 (931~938) に醍醐天皇皇女勤子に奉った『倭名類聚抄 (わみょうるいじゅしょう) 』は,百科事典的な分類体の漢和辞書。詩文も巧みで,『無尾牛歌』や『夜行舎人鳥養有三 (やぎょうのとねりとりかいのありみ) 歌』などは不遇を訴える風刺的な文章として,仮名散文の『野宮庚申夜歌序』などとともに注目される。『宇津保物語』『落窪物語』などの作者にも擬せられているが確証はない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

源順
みなもとのしたごう
(911―983)

平安中期の歌人、漢学者。嵯峨(さが)源氏、挙(こぞる)の息。43歳にして初めて学生(がくしょう)から文章生(もんじょうのしょう)となり、勘解由判官(かげゆのじょう)、民部大丞(みんぶのだいじょう)、和泉守(いずみのかみ)などを経て能登(のと)守に至る。和漢の才に優れ、承平(じょうへい)年中(931~938)に『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』を撰進(せんしん)、951年(天暦5)梨壺(なしつぼ)の五人の1人として撰和歌所寄人(よりゅうど)となって『後撰(ごせん)和歌集』を撰し、『万葉集』を読解した。「無尾牛歌」「夜行舎人鳥養有三歌(やこうのとねりとりかいのゆうさんか)」などの詩文、あるいは歌に官位停滞の不満を訴え、父母兄子の亡失に不遇をかこつ一方、歌合(うたあわせ)、詩合(しあわせ)へ出詠し、貴権に多く詩歌を召された。また、馬の毛の名を詠み込んで十番につがえた『源順馬毛名合(うまのけのなあわせ)』、「天地(あめつち)の歌」「双六盤(すごろくばん)の歌」のような遊戯的作品も多い。その表現は平淡ながら、ことば遊び的な要素が強い。その多彩な才能、現実的な性向から、『落窪(おちくぼ)物語』『うつほ物語』の作者に擬せられもする。三十六歌仙の1人で、家集『源順集』があり、詩文は『本朝文粋(もんずい)』『扶桑(ふそう)集』などに収められている。また『作文大体』『新撰詩髄脳』の著があったようである。[杉谷寿郎]

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世界大百科事典内の源順の言及

【宇津保物語】より

…平安中期(10世紀末)の作り物語。作者は古来の源順(みなもとのしたごう)説が有力。〈うつほ〉には〈洞〉〈空穂〉をあてることがある。…

【落窪物語】より

…作者不詳。源順(みなもとのしたごう)とする説もある。順が漢文学の素養があり,和歌もよくする下級貴族の男性であることで,作者の条件をみたす一人だと見てよい。…

【竹取物語】より


[作者について]
 このような世界を描き出して見せた作者は,現実の貴族社会の俗悪面に矛盾を感じつつも,なお人間世界での清純なものにあこがれた人で,和・漢・仏教等の教養ゆたかな男性であったようである。作者については,従来,源順(したごう),源融(とおる),僧正遍昭,斎部(いんべ)氏の一族などの諸説があるが,確証はない。《竹取物語》は,上述したごとく,対照的な要素を,伝統的な形態の中に創造的な契機をふくめて,巧みに描き出した物語で,たわいなく,おもしろく,美しく,深みのある作品である。…

【梨壺の五人】より

…951年(天暦5)10月,村上天皇の勅命によって,《万葉集》の訓釈と第2番目の勅撰集《後撰集》の撰という二つの事業が課せられ,内裏の後宮にある昭陽舎(梨壺)に初めて撰和歌所が置かれた。別当(長官)には左近少将藤原伊尹(これただ)が任ぜられ,讃岐大掾大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ),河内掾清原元輔,学生源順(みなもとのしたごう),近江少掾紀時文,御書所預坂上望城(さかのうえのもちき)の5人が事にあたった。能宣,元輔は当代歌人の代表者,順は和漢にわたる随一の学識者,時文は能筆の者,望城は御書所の図書責任者であったから,それぞれの能力や立場に応じて撰集と訓釈という両面の仕事が分担されたと想像される。…

【本朝文粋】より

…讒(ざん)によって嵯峨亀山に隠退した憤懣(ふんまん)を直叙する怒りの文学。また源順(したごう)《無尾牛歌》《夜行舎人鳥養有三歌》《高鳳刺貴賤之同交歌》は尾のない牛や夜行の翁に自己を託して政府高官を誹(そし)りつつ,老いて微官を嘆く自嘲がにじむ。兼明や順に見られる藤原氏専制下における批判は,和歌や日本語散文の世界よりも漢文学の世界に現れるのは注目すべきところである。…

【和名類聚抄】より

…また〈和〉は〈倭〉とも記す。醍醐天皇の皇女勤子内親王の命により,源順(みなもとのしたごう)が撰上した意義分類体の漢和辞書。承平年間(931‐938)の編集か。…

※「源順」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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