藤戸寺(読み)ふじとじ

日本歴史地名大系 「藤戸寺」の解説

藤戸寺
ふじとじ

[現在地名]倉敷市藤戸町藤戸

高野山真言宗の古刹。正式名称は補陀落山千手院藤戸寺。本尊千手観音。当寺は現在、盛綱橋を南に渡って正面のどう山とよばれる小丘上にある。この堂山はかつての藤戸海峡の最狭部に突出した岬であって、いまも藤戸と天城あまきの街を一望におさめる景勝の地となっている。

元禄六年(一六九三)京都泉涌せんにゆう寺の整峰元允が文撰した藤戸寺縁起(寺蔵)などによると、慶雲二年(七〇五)藤戸の海から千手観音が出現、これを奉祀すると種々の霊験があった。そののち天平年間(七二九―七四九)児島を巡錫した行基はこの千手観音を本尊として堂山に当寺を開創、みずから開山になった。このとき、大殿・宝塔・経蔵・鐘楼・山門のほか塔頭一二坊が立並び、「四海安泰、万民豊楽之叡信」を凝らす聖武天皇勅願寺となった。次いで平安初期の大同元年(八〇六)坂上田村麻呂が勅によって当寺造営に当たり、また仁平元年(一一五一)大般若経六〇〇巻が寄進され、鳥羽上皇の勅願寺に列したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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