藪の中(読み)ヤブノナカ

デジタル大辞泉 「藪の中」の意味・読み・例文・類語

やぶ‐の‐なか【×藪の中】

芥川竜之介小説藪の中」から》関係者の言うことが食い違うなどして、真相がわからないこと。
[類語]不詳未詳掴み所が無い雲を掴む様

やぶのなか【藪の中】[書名]

芥川竜之介の小説。藪の中で起こった殺人について、目撃者や当事者たちが語るが、その内容がそれぞれ食い違うために真相はわからないままとなる。大正11年(1922)発表

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精選版 日本国語大辞典 「藪の中」の意味・読み・例文・類語

やぶ【藪】 の 中(なか)

  1. 低木や竹などの生い茂ったなか。
    1. [初出の実例]「昼の養せむとて藪の中に入るを」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)
  2. ( 芥川龍之介作品「藪の中」から ) 関係者のいうことが食い違って、真相がわからないことをいう。「真相は藪の中だ」

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世界大百科事典(旧版)内の藪の中の言及

【羅生門】より

黒沢明監督作品。芥川竜之介の短編小説《藪の中》を基に,《羅生門》からのエピソードも加えて,橋本忍と黒沢が共同で脚本を書いた。平安の乱世の時代,都に近い山科のやぶのなかで起きた殺人をめぐる関係者と目撃者それぞれのくいちがう告白を,それぞれの視点で描き,それをオムニバス映画のように構成するという類のないユニークなスタイルで見せて,〈事実〉というものの多面性を浮き上がらせた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」