虎を養いて自ら患いを遺す(読み)トラヲヤシナイテミズカラウレイヲノコス

デジタル大辞泉 の解説

とらやしないてみずかうれいをのこ

《「史記項羽本紀から》情愛にひかれて後日禍根を残すたとえ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 の解説

虎を養いて自ら患いを遺す

取り除いておくべきものを取り除かないと、後日、災いを引き起こすということのたとえ。

[由来] 「史記こう紀」に載っているエピソードから。紀元前二〇三年の中国でのこと。項羽とりゅうほうという二人の英雄は、四年にわたって争いを続けてきましたが結着がつかず、ついに和平を結ぶことになりました。その直後劉邦の補佐役たちは、疲れ切って引き揚げていく項羽の軍勢を、後ろから不意打ちしよう、と提案します。ためらう劉邦に向かって、補佐役たちは、「今、項羽を無事に帰してしまうのは、『虎を養いて自ら患いを遺す(虎を生かしておいて、自分から将来の不安を残す)』というものです」と説得。決心した劉邦は、このチャンスをつかんで項羽を打ち破り、前漢王朝を樹立したのでした。

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