蟹寺村(読み)かんでらむら

日本歴史地名大系 「蟹寺村」の解説

蟹寺村
かんでらむら

[現在地名]細入村蟹寺かにでら

猪谷いのたに村の南、みや川と高原たかはら川が合流して神通川となる左岸の平坦地に立地する。中世史料には菅寺ともみえる。地名はもと石山いしやまと称していたが、荒れ放題であった地内の慈眼じげん院に旅僧が宿泊し、同院に住んでいた化蟹を退治したことにより村人がこれを讃え寺号を蟹寺としたことに由来するという。この僧は海岸かいがん(現富山市)月庵で、この伝承は月庵開創の寺院に広くみられるという。応永二〇年(一四一三)一二月一一日の越中国東寺棟別銭免除在所注文(東寺百合文書)に「菅寺」とみえ、日野康子(足利義満の妻)の所領とされている。もとは楡原にれはら保内の郷村であったが、当地をめぐっては訴訟が起きており、同二一年二月の仁和寺雑掌申状案(仁和寺文書)に「阿奴庄内猪谷・菅寺両村」とみえ、また年未詳の年貢目録(同文書)では婦負郡伊田いだ保内西猪谷村に含まれる地として「三貫七百文 かむてらの御ねんく」とあり、楡原保でみるとおり、この混乱は訴訟に伴うものである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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