近世都市で常設店舗が営まれる空間,またその営業者・居住者。多くは地借・店借だが,裏店(うらだな)の民衆より一段高い階層を象徴する呼称で,問屋・仲買商人層にほぼ相当する。大商人を意味する大店は,表店が大規模化し,町屋敷所有をも実現した場合の呼び方といえる。表店の発生は,中世後期の問屋・商人宿の定住過程にさかのぼるとみられる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…個々の屋敷地内の,表通りに沿った,奥行き5間ほどの表部分には,地主が店舗を出すか,または,地借といって,比較的富裕な商人が地主から土地を借りて自己資金で店舗を建てた。これが表店で,それに対して,表店の間の路地を入った裏部分は商売に適さないため,会所地と同様に江戸時代初期には,さほど利用されていなかった。しかし17世紀後半の寛文~元禄期以後には,町人階級内部の階層分化の進行や,他所からの転入などによって増加した下層庶民の住居として,地主が,この屋敷地内の裏部分に長屋などの住居を建てて,借家経営を行うのが一般的となった。…
※「表店」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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