裁判・宰判(読み)さいばん

精選版 日本国語大辞典 「裁判・宰判」の意味・読み・例文・類語

さい‐ばん【裁判・宰判】

〘名〙
① 裁き決定すること。
(イ) 特に、古代末から中世末、裁判所が訴訟理非を判断して決定すること。
※石清水文書‐治安三年(1023)一〇月五日・僧兼清解案「今全為将来横妨、重請申当時之裁判如件、望請裁判、永停止非門徒宮寺司之横妨
(ロ) 特に現代、法律上の争いについて裁判所が判断を下すこと。内容によって民事裁判・刑事裁判などに分かれ、形式によって判決・決定・命令に分かれる。日本では、公正を期するため三審制度が実施され、また、司法権独立の原則、裁判官の身分保障、公開裁判の原則などが認められている。
※寄笑新聞(1875)〈梅亭金鵞〉二号「極楽の東門へ出訴におよび阿彌陀如来の裁判(サイバン)を請しに」
② とりしきること。管理すること。支配すること。
今堀日吉神社文書‐(年未詳)(室町)六月七日・近江小幡商人等申状「五ヶの商人さいはん仕儀候」
③ (宰判) 長州藩において一代官の管轄する区域(二〇~三〇か村)をいう。のちには行政区を意味するようになり、郡奉行配下の代官のほか、民間から選出された大庄屋があたった。
④ 判断すること。
後世への最大遺物(1897)〈内村鑑三〉一「若し偏して居ったならば其様に御裁判を願ひます」
[語誌](①について) 漢籍例はないが、日本では平安時代からすでに見える。しかし、中世の節用集には、「裁判」のほかに、「宰判」の表記も多く見られる。江戸時代中期の「志不可起」に「さいばん さいばい 物を取計(とりはからひ)よく それそれにわけをたつるを云 宰判(さいはん)宰配(さいばい)なるべし」とあるところから、「裁判」と「宰判」とは同義で、この時期表記が揺れていたと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報