西隆寺跡(読み)さいりゆうじあと

日本歴史地名大系 「西隆寺跡」の解説

西隆寺跡
さいりゆうじあと

[現在地名]奈良市西大寺東町一―二丁目

西大寺の北東にあった古代の尼寺。「続日本紀」神護景雲元年(七六七)八月二九日条に「従四位上伊勢朝臣老人為造西隆寺長官」とあり、同年に造営が始められたものと考えられる。翌二年五月二八日条によれば藤原仲麻呂の旧領など三〇〇町が施入され、宝亀二年(七七一)八月二六日条には僧綱印および大安だいあん(現奈良市)など一二寺の印を鋳造して各寺にわかったとあり、そのうちに西隆寺の名もみえる。さらに同九年三月二〇日条に皇太子の病平癒を祈って東大寺・西大寺・西隆寺の三寺に誦経せしめるとあり、寺勢が推測される。「三代実録」元慶四年(八八〇)五月一九日条には「令西大寺摂領西隆寺尼寺、此両寺、是高野天皇創建」とみえ、西隆寺は尼寺で高野(称徳)天皇によって創建されたが、西大寺の管理下に置かれたことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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