西馬音内盆踊(読み)にしもないぼんおどり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西馬音内盆踊」の意味・わかりやすい解説

西馬音内盆踊
にしもないぼんおどり

秋田県雄勝(おがち)郡羽後(うご)町西馬音内に伝承する盆踊り。月遅れ盆の8月16~18日に踊られる。起源は不明であるが、「亡者(もうじゃ)踊」ともいうように、亡(な)き人への供養の踊りである。踊り子の一部は彦三頭巾(ひこさずきん)とよぶ黒布の頭巾を頭からかぶり、また他の者は鳥追い笠(かさ)をかぶって顔を隠す。豆絞りの手拭(てぬぐい)で保名(やすな)風の鉢巻をしたかわいらしい子供たちの踊りに始まり、彦三頭巾や鳥追い笠(かさ)の娘や若者の踊りに変わり、やがて練達の人たちが加わり雰囲気を高めていく。浴衣(ゆかた)姿に混じってひときわ目だつのは、美しい古布を集めて縫い合わせた端縫(はぬい)という衣装を着た女性たちである。曲目は「音頭」に始まり「甚句(じんく)」で終わる。甚句はがんけ踊とも亡者踊ともいう。囃子(はやし)は横笛三味線大太鼓、小鼓、鉦(かね)を用いる。町の大通りに焚(た)かれた篝火(かがりび)に映え、楕円(だえん)形に広がった踊り子の手ぶり足さばきはきわめて美しい。国指定重要無形民俗文化財。

[萩原秀三郎]


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世界大百科事典(旧版)内の西馬音内盆踊の言及

【羽後[町]】より

…出稼ぎも多く農家の半数以上に及んでいる。8月16~18日に行われる西馬音内盆踊は中世以来の歴史をもつ。三輪神社本殿および境内社の須賀神社本殿,江戸中期の民家鈴木家住宅は重要文化財に指定されている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」