見知(読み)みしる

精選版 日本国語大辞典 「見知」の意味・読み・例文・類語

み‐し・る【見知】

〘他ラ五(四)〙
① 見て知る。見てわかる。よく知っている。
古事記(712)下「大后、其の玉釧を見知(みしり)たまひて」
伊勢物語(10C前)九「京には見えぬ鳥なれば、皆人見しらず」
面識がある。また、親しくつき合っている。交際してよく知る。その人の性質や性格を知る。
※宇津保(970‐999頃)国譲上「かの御かたの人は、みなみしりたり」
③ 見て、その価値がわかる。風情や美などを見て理解する。
源氏(1001‐14頃)末摘花「うち忍び用意し給へる御けはひいみじうなまめきて、みしらむ人にこそ見せめ」
④ 手痛い経験などによって、よくよく理解する。身にしみてわかる。
※源氏(1001‐14頃)帚木「女の、これはしもと難つくまじきはかたくもあるかなと、やうやうなむみ給へしる」
⑤ 経験している。
※源氏(1001‐14頃)賢木「みしり給はぬ世のうさに、立ちまふべくもおぼされず」

み‐しら・す【見知】

[1] 〘他サ下二〙
① 見てわかるようにする。見てわからせる。
史記抄(1477)一六「人に見知せられてよい吏なりと云わるる者どもの伝を作て」
② ひどい目にあわせる。懲らしめる。
浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)職人尽し「汝が五体に七つ輪を入、頭から爪先迄、やりがんなをみしらせて無し物桶にしてくれん」
③ 「する(為)」の俗語。やらかす。やっつける。みしらかす。
浮世草子傾城色三味線(1701)大坂「夜のちぎりを昼中(ひるなか)にみしらすと」
[2] 〘他サ四〙
① (一)②に同じ。
※雲形本狂言・空腕(室町末‐近世初)「切たり切たりまっただ大げさに見しらした」
② (一)③に同じ。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸小半酒(こなからざけ)を冷にて見しらし」

み‐しり【見知】

〘名〙
① 見て知ること。見知っているもの。見おぼえ。
※虎明本狂言・若市(室町末‐近世初)「その花はみしりがあるが」
② 見知っていること。また、その人。面識のある人。顔見知り
たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉一〇「ひどく弱って居るやうだなと見知(ミシ)りの台屋に咎められしほど成しが」

み‐しらか・す【見知】

〘他サ四〙 =みしらす(見知)(一)③
※浄瑠璃・傾城阿波の鳴門(1768)一「あの手ぢゃいかぬと思うた故、実事仕を見しらかしたりや」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「見知」の読み・字形・画数・意味

【見知】けんち

見て知る。

字通「見」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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