(読み)コ

デジタル大辞泉 「觚」の意味・読み・例文・類語

こ【×觚】

中国古代、儀式に用いられた大型の酒器。細い筒形の胴に朝顔状に開いた口縁と足とがつく。

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精選版 日本国語大辞典 「觚」の意味・読み・例文・類語

こ【觚】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国で殷代、周代に使用された青銅製の酒器。口はラッパ状に開き、胴は四角または八角の筒状で口と同型の足が付いた杯。時代が下るにつれて胴は丸いものとなった。〔文明本節用集(室町中)〕〔論語‐雍也〕
    1. 觚<b>①</b>〈和漢三才図会〉
      和漢三才図会
  3. かど。稜角方形態度などのきちんとしていること。〔荘子‐大宗師〕
  4. 昔、文字を記すのに用いた木の札(ふだ)木簡
    1. [初出の実例]「觚を操るの暇なく、暫らく続稿を廃せしが」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉附録)
    2. [その他の文献]〔陸機‐文賦〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「觚」の意味・わかりやすい解説



gu

中国古代の青銅製酒器の名称細腰のコップ形で,口と底部がらっぱ状に開く。殷・周時代のものがほとんどである。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【角杯】より

…ギリシア語ではリュトンrhytonといったが,それは〈獣角〉の義であった。中国では各種の杯(飲酒器)を獣角でつくったことは,杯の名称に觚(こ),觶(し),角(爵)など,角に関係した文字があるので知られる。しかし殷(いん)の青銅器の杯はすでに相当進化していて,獣角のなごりは求めにくい。…

【青銅器】より

…酒の燗をするための器と推測される爵,斝は前の期から引き続き盛んに作られている。また觚(こ)も多い。口の開きが極端となり朝顔の花のような形になる。…

【簡牘】より

…これを冊とよぶ。そのほか形では長さ2尺のものを檄(げき),3尺を槧(ざん),多面体のものを觚(こ)といい,また用途に応じて符(証明書)とか(けい)(付け札)といった呼称があった。また経書は2尺4寸,諸子の書は1尺2寸という規定のあったことも遺物によって実証されている。…

【木簡】より

…簡は本来竹製の〈ふだ〉を意味し,木製は牘(とく)や札で表記し,竹簡・木牘の意味で簡牘というのが本来の呼称である。漢簡では,漢の1尺に当たる約23cm,幅1cmのものが標準で,2尺のものを檄(げき),3尺のものを槧(ざん)といい,2行書く幅のものを両行,書く面を3面以上作ったものを觚(こ)と呼ぶ。また簡面をカバーし,その表面に宛名を書くものを検,同じものを二分して別に保持し,必要なときにつき合わせて証拠に使うものを符,品物につける鉄道荷札のようなものを楬(けつ),旅行者の身分証明書を棨(けい)というなど,使用目的による名称もある。…

※「觚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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