許道寧(読み)きょどうねい(その他表記)Xǔ Dào níng

改訂新版 世界大百科事典 「許道寧」の意味・わかりやすい解説

許道寧 (きょどうねい)
Xǔ Dào níng

中国北宋山水画家生没年不明。陝西省長安の人。初め李成の山水を学び,薬を売りながら樹石を描いていたが,認められて公卿の門に出入りし,長安を中心に邸宅官衙の壁画屛風を制作した。晩年,簡略縦逸化した筆墨をもって独自の山水様式を成就し,1052年(皇祐4)ころ,80余歳で没した。林木・平遠・野水の表現に長じたといい,《秋山蕭寺図巻》(藤井有鄰館)は彼の様式を伝える貴重な作品である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「許道寧」の意味・わかりやすい解説

許道寧
きょどうねい
Xu Dao-ning

[生]970頃
[没]1052頃
中国,北宋の山水画家。河間 (河北省) の人。 汴京 (開封) で薬売りをし,そのアトラクションとして大道で絵をかいたという。のち仁宗朝 (1022~63) のとき,権臣庇護を受け中央画壇に出たと考えられる。李成派山水画様式を得意とし,華北の荒涼とした自然粗放な水墨画法によって描いた。李成から郭煕までの華北山水画様式のなかで過渡期の画家と推測される。伝称作品に『秋山蕭寺図巻』 (藤井有鄰館) ,『谿山秋霽図巻』 (フリーア美術館) などがある。

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百科事典マイペディア 「許道寧」の意味・わかりやすい解説

許道寧【きょどうねい】

中国,宋の仁宗時代(1022年―1063年)の山水画家。生没年不詳。初め街頭で薬を売りながら客集めに絵を描いていたが,のち画技を宰相張士遜に認められた。李成画風を継いで華北の蕭条(しょうじょう)とした自然を描き,中唐以来の逸品画の伝統を引くものとして尊ばれた。

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