知恵蔵 の解説
詐欺的セキュリティソフト
実際には詐欺的セキュリティソフトにセキュリティソフトとしての効果は無く、ウイルス検査を行っても結果はデタラメで、無関係なファイルをウイルスとしてリストアップし削除させてしまうケースもある。
利用者をだます手段にはウェブサイトを使う。偽のセキュリティソフトメーカーのウェブサイトを作り、検索サイト経由などでアクセスしてきた利用者に対し、ウイルスチェックの画面やウイルスを見つけたことを示す偽の警告画面を表示させ、そのままソフトのダウンロードや購入を行わせる。改ざんしたウェブサイトにアクセスした利用者にそれらの警告画面を見せ、そのまま偽サイトに誘導するなどの手口もあるようだ。
海外では2005年頃から存在が確認されていたが、06年には日本語版のウェブサイトや偽のソフトも確認された。海外の制作者が機械翻訳で日本語化したものと見られ、日本語の表現が一部おかしいため疑わしいことが分かりやすいが、決済時にはSSLによる暗号化通信が行われ、日本人向けにJCBカードでの決済にも対応するなどしており、実際の被害も出ている。
現在では、実在のセキュリティソフトに名称や画面デザインを似せたものや、基本となる詐欺的セキュリティソフトから複数のバリエーションを作ったものなども登場。ソフトの制作、配布、決済などが分業化され、より組織化された犯罪になっていることが指摘されている。
類似の手法として、ハードディスクやファイルのエラーをチェック、修復するという触れ込みでユーティリティソフトをダウンロード、インストールさせるケースもある。実行すると偽のエラー項目を大量に表示し、修復したければ製品を購入して登録するようにと促す。ランサムウエア化し、データを暗号化して「人質」に取るソフトの登場も懸念される。
(斎藤幾郎 ライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報