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詩選 しせんEclogae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

詩選
しせん
Eclogae

ローマの詩人ウェルギリウス自選の 10編から成る詩集。『牧歌』 Bucolicaとも呼ばれる。羊飼い,山羊飼いなどが木陰や泉のほとりで歌うひなびた歌の形を借り,繊細な情緒を自然の風物に託して歌う牧歌はヘレニズムの詩人テオクリトスの創造になるが,ウェルギリウスはその形や登場人物の名前を借りて,共和政末期のローマの悲しみ,喜び,希望を,野や山に住む小さい人間たちのものとして歌う。牧歌に内在する恋の歌 (2,8) もあり,耕地を失う悲運の影濃い歌 (1,9) ,歌のわざ比べ (3,7) ,きたるべき黄金時代の夢と祈り (4,6) ,そしてウェルギリウスの詩論の象徴的展開と目される歌 (5) ,恋愛エレゲイアの創始者ガルスへの賛歌など,内容は多彩で詩法は他の追随を許さない高い完成度を示している。各詩の配列や詩行数の対称的配分などにも細心の工夫が凝らされており,さながら詩句で編まれた花籠のごとき観を呈している歌集である。

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