改訂新版 世界大百科事典 「ガルス」の意味・わかりやすい解説
ガルス
Gaius Cornelius Gallus
生没年:前69ころ-前27か26
ローマの抒情詩人,将軍。ガリアの地中海沿岸の町フォルム・ユリイに生まれた。前30年にオクタウィアヌス(後のアウグストゥス)の将軍の一人としてアントニウスの軍を破り,属州エジプトの初代総督に任ぜられたが,後年アウグストゥスの不興を買い自殺した。ガルスはプロペルティウス,ティブルス,オウィディウスと並んでラテン恋愛抒情詩を代表する詩人であり,2行1組のエレゲイアの韻律で書かれ,リュコリスの名を冠した女主人公にあてられた恋愛詩は同時代の詩人たちに広く知られていた。近年まで彼の真作として伝えられてきた詩行はわずか1行にすぎなかったけれども,1963年に始まったエジプトのカスル・イブリム遺跡発掘の出土品中からガルス作と目される詩の書かれたパピルスが発見され,リュコリスの名が見られることから,真作であることはほぼまちがいないと報告されている。
執筆者:平田 真
ガルス
Flavius Claudius Constantius Gallus
生没年:325ころ-354
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報