朝日日本歴史人物事典 「谷一斎」の解説
谷一斎
生年:寛永2(1625)
江戸前期の儒学者。名は松,字は宜貞,一斎は号。谷時中の子として土佐に生まれ,家学である朱子学を承け,藩に仕える。父の没後,小倉三省,野中兼山に学ぶ。兼山の失脚に伴い,南学派が四散するなか,京都に出て諸生に教える。その後,江戸に移り,稲葉侯に仕える。門人に大高坂芝山らがいる。『小学』や『四書』を尊崇し,土佐南学派の朱子学を正統的に継承する者と称された。天文にも通じ,貞享の改暦(1684)をめぐって,渋川春海と論争したことでも知られる。著書としては『封事』がある。
(柴田篤)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報