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谷頭浸食(読み)コクトウシンショク

関連語 茂美 高山

改訂新版 世界大百科事典 「谷頭浸食」の意味・わかりやすい解説

谷頭浸食 (こくとうしんしょく)

谷の最上流部で水源より上方の部分,すなわち谷頭で行われる浸食作用をいう。頭部浸食,後退浸食ともいう。谷頭ではふだん流水を見ないが,降雨時には水流を形成せずに布状に面として流れる布状洪水sheetfloodが発生して谷壁斜面の風化物質や崩壊物質を洗い流す。また,谷頭のすぐ下流側にある泉からの地下水の湧出により,泉の上部にある地層が掘り崩される。このような作用により谷頭部の斜面は上流側に後退するので,それに伴って谷が上流側へ延びていく。谷頭の上流側への後退が活発に行われると流域が拡大し,分水界が移動する。隣接する流域どうしでどちらか一方の谷頭浸食が急速に進行すると河川争奪が起こる。ミシシッピ川のような大河が谷頭浸食によって現在の水源にまで延長されたとは考えにくいが,小さな支流の多くは谷頭浸食の結果生じたものであり,多くの小河谷の成長にとっては大きな意味をもつ。日本でも武蔵野台地や常総台地を刻む谷で地表傾斜や地質構造などと無関係に発生した谷は地下水を主役とする谷頭浸食によって生じたものである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の谷頭浸食の言及

【河食作用】より

…しかも河床の縦断面は全川にわたり凹形を呈するように働く。なお,谷を上流方向に長くする浸食作用は谷頭(こくとう)浸食とよばれる。【高山 茂美】。…

※「谷頭浸食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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