豊秋津神社(読み)とよあきづじんじや

日本歴史地名大系 「豊秋津神社」の解説

豊秋津神社
とよあきづじんじや

[現在地名]田辺市秋津町

右会津みぎあいづ川の西岸雑木に囲まれた小高い丘上に鎮座祭神邇邇芸命、旧村社。近世まではくももり明神と称した。「続風土記」は「祀神詳ならす、永正三年の棟札に奉興立本願檀那愛洲三郎左衛門源元俊と見え、天文十年の棟札に愛洲三郎源長俊再興とありて神名を載せす、元禄十五年再興の棟札に始めて雲の森大明神と記せり、雲森は地名なり」と記す。

伝えによれば鎮座地の丘は神奈備山として古くより崇敬され、秋津野の三山の一つであった。当初山麓に社があったが、延宝三、四年(一六七五、七六)の両度の水害流失、同五年山上に移し、さらに元禄一五年(一七〇二)に現在地に移転再興されたという。元禄年間の「紀南郷導記」に「雲ノ森有リ、此杜ノ中ニ大明神ノ社有リ、是ハ昔天ヨリ降リ給フ故ニ雲ノ森ト云フナリト土俗ノ説ナリ、最モ名所ナリ」とあり、延享三年(一七四六)の南紀神社録(和歌山県立図書館蔵)は「天ヨリ降リ給フ」神を雨師神とし、寛政四年(一七九二)の田辺領神社書上帳(田所文書)は祀神をいかずち尊・彦豊出見ひこほほでみ尊とする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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