改訂新版 世界大百科事典 「負荷試験」の意味・わかりやすい解説
負荷試験 (ふかしけん)
Belastungsprobe[ドイツ]
一般に,対象となるものの物性や状態を調べるために負荷を与えて検査する方法をいうが,ここでは医学における臨床検査で行われる負荷試験について述べる。臨床検査においては,一定の刺激を負荷したときの生体反応を指標として臓器の機能を判定する検査法をいう。おもに,ふつうの検体検査ではほぼ正常範囲の値が得られたがなお異常の予想されるとき,あるいは負荷試験を行わなければ臓器の機能異常が診断できないとき(とくに内分泌機能検査に多い)に行われる。臓器別に,肝臓,腎臓,心臓,内分泌腺,運動器などについて多数の方法が考案されており,負荷する刺激は,(1)物理的刺激,(2)化学的刺激,(3)生理的刺激に大別される。(1)の例としては脳波検査における光による刺激,(2)は最も種類が多く,栄養素,ホルモン,薬物などの投与,(3)には運動,睡眠などの負荷が含まれる。負荷試験の成績の判定は指標とする反応の正常範囲を参考にして行う。ブドウ糖負荷試験を例にあげると,ブドウ糖75gを被検者に摂取させ,摂取前と摂取後30分おきに120分まで採血して血糖値を測定し,その血糖曲線からブドウ糖利用能力(耐糖能)の異常の有無を判定する。糖尿病患者では正常者にくらべ血糖値が高く,前値への回復も遅い。
→臨床検査
執筆者:斎藤 史郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報