日本大百科全書(ニッポニカ) 「財政公開制度」の意味・わかりやすい解説
財政公開制度
ざいせいこうかいせいど
民主主義の維持・向上のためには、国民が政府のしていることについて十分に知っており、それに基づいて有効な監督・統制を及ぼすことのできることが不可欠である。財政は、政府の活動の実態を赤裸々に表現するものであるから、その真実の姿が国民に公開されることが必要であり、国会による課税や歳出についての承認を求める制度とともに、予算や決算を国民に公開する制度も発展しており、これらは財政民主主義の内容を形成している。フランス旧体制末期の大蔵大臣ネッケルによる財政公開がフランス革命の一動機となったことや、ヒトラーのナチス・ドイツにおいては1933年から45年まで財政が非公開であったということからも、財政の公開の民主主義に対する重要性がわかる。わが国においては、憲法および財政法で、内閣は、国会および国民に対し、定期に、少なくとも毎年1回(財政法では毎四半期ごとに)、国の財政状況について報告しなければならない、と規定されている。
[林 正寿]