賀来龍三郎(読み)かくりゅうざぶろう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賀来龍三郎」の意味・わかりやすい解説

賀来龍三郎
かくりゅうざぶろう

[生]1926.5.19. 大分
[没]2001.6.23. 東京,大田
経営者。キヤノン中興の祖といわれた。キヤノンを精密機器の国際的大手に飛躍させて名経営者と称賛され,財界人としては骨っぽい正論を展開して「平成のご意見番」と呼ばれた。九州大学経済学部を卒業し,1954年キヤノンカメラに入社。経理畑を歩み,1972年取締役。常務を経て 1977年に社長。国際化と多角化を推進し,1980年代初頭には高収益体質の基礎を築いた。1989年会長,1997年から名誉会長。会長に退いたあと経済同友会副代表幹事を 6年間務め,異色の財界活動が光った。企業の社会的責任を強調し,官主導から民主導へ,生産者第一主義から生活者重視への転換と,東京一極集中の是正を訴え続けた。歯にきぬ着せず政治に対して苦言を呈し,財界の政治献金は時代遅れと警鐘を鳴らし,「財界の良心」と尊敬された。1985年藍綬褒章,レジオン・ドヌール勲章,1998年勲二等瑞宝章を受章した。

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