基準値
男性:12mm/時
女性:15mm/時
赤血球の沈む速度を調べる検査です。病気によって亢進したり遅延します。境界値は注意領域と考え、定期的な検査を受けましょう。
赤血球の沈む速度から、全体的な病態を把握する検査
上の図のように血液を抗凝固剤と混ぜ、細長い棒に入れて放置しておくと、赤血球は棒中を下に沈んで(沈降して)いき、上層の液体部分(
この沈降する速度が一定時間内にどのくらいかを、血漿層の長さ(図のXの部分)で測定するのが赤血球沈降速度(血液沈降速度)で、略して赤沈、血沈とも呼ばれます。
赤沈は、たとえ異常値を示しても、それがすぐに特定の病気に結びつくものではありません。
しかし、さまざまな病気で異常値を示すため、ほかの検査と組み合わせて、全体的な病態把握のために広く行われている検査です。
感染症や膠原病などで亢進、多血症やDICなどで遅延
赤沈は、赤血球数と血漿中に含まれる蛋白の成分によって
一方、多血症では遅延し、また
女性は男性より高値
赤沈は、赤沈棒に血液を入れて放置してからの1時間値と2時間値を測定しますが、実用上は1時間値が重視されます。
女性は男性より高値で、また妊娠すると妊娠3カ月以降高値となり、分娩後1カ月でもとに戻ります。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
境界値は定期的に検査を
炎症や組織の破壊があったとき、赤沈が変動するのは30時間以上たってからです。このため、これらを迅速に知るには、赤沈は不適当です。
一方、慢性感染症では、赤沈は再燃の発見に鋭敏に反応するため重要な検査で、白血球数(→参照)や体温より鋭敏に変動することが多いといえます。関節リウマチでは、病勢の指標として赤沈が検査されています。
原因となる病気があった場合は、基準値に戻るまでは十分に生活に注意して、急いで従来の生活へ復帰しないようにします。境界値の人は、注意領域にあると考えて、定期的に検査する必要があります。
疑われるおもな病気などは
◆亢進→悪性腫瘍、血液疾患(多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、急性白血病)、急性・慢性感染症、膠原病、肝臓病など
◆遅延→多血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、低フィブリノゲン血症など
医師が使う一般用語
「せきちん」「けっちん」=赤血球沈降速度、血液沈降速度の略
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…正確には赤血球沈降速度erythrocyte sedimentation rateといい,これを略して赤沈ともいう。血漿中に浮遊している赤血球が沈降する速度を測定することにより,病気の有無や病勢を判断する臨床検査法。…
※「赤血球沈降速度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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