足利市(読み)アシカガシ

デジタル大辞泉 「足利市」の意味・読み・例文・類語

あしかが‐し【足利市】

足利

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日本歴史地名大系 「足利市」の解説

足利市
あしかがし

面積:一七七・六八平方キロ

県の南西端に位置する。市域北部は足尾あしお山系南縁部が迫り、仙人せんにんヶ岳(六六二・九メートル)を最高所とする山地と山裾の平地で、東南流する渡良瀬川以南は関東平野の北縁部。北東は安蘇あそ田沼たぬま町、東は佐野市、南は群馬県の館林市・邑楽おうら郡邑楽町、南西は同県太田おおた市、北西は同県桐生きりゆう市。北部山地より小俣おまた川・松田まつだ川・田島たじま川・名草なぐさ川などが流れ出し、田島川・名草川を合流するふくろ川、南端の県境付近を蛇行する矢場やば川、東端のはた川などすべて渡良瀬川に合流する。南部を国道五〇号バイパスが走り、それから分れる国道二九三号は東の越床こしどこ峠を経て佐野市北西部に至る。渡良瀬川を挟んで北の市街にJR両毛線足利駅、南に東武伊勢崎線足利市駅がある。

〔原始・古代〕

先土器時代の遺跡としては、大久保おおくぼ遺跡から剥片石器平石ひらいし遺跡から尖頭石器などが出土。縄文草創期に入ると平石遺跡から土器や土壙が出土する。早期遺跡は入小屋いりごや遺跡・中の目なかのめ遺跡・四代寺しだいじ遺跡・菅田すげた遺跡・西耕地にしこうち遺跡など北部に多く、南部にも富士の腰ふじのこし遺跡・中日向なかひなた遺跡などがある。高松たかまつ遺跡は早期から晩期までの各期に断続し、早期土器を伴う竪穴住居跡・土壙をはじめ各時期の遺構・遺物が出土した集落跡である。前期遺跡も北部に多く、早期から続く反過たんが遺跡には階段状の大型土壙がある。中期の駒場こまば遺跡からは大型土器の埋甕、中の目遺跡からは一・六メートル弱の大型石棒が出土、総じて低台地に占地するものが目立つ。後期遺跡は北部・南部ともに最も多く、高松遺跡では台地上に石囲炉をもった多くの平地住居跡群が確認された。晩期遺跡は中の目遺跡から安行III式様の皿・亀ヶ岡式的な広口壺、高松遺跡から安行III式と亀ヶ岡式の要素を併せもつ土器群が出土。全期を通じてみると、遺跡の数は市域の中央部・東部・南部に比して西部は約三倍となる(近代足利市史)。弥生前期とみられる入小屋遺跡からは打製石斧・石鏃などとともに浮線矩形連続文土器が伴出する。中期は低台地を占めるものが多く、後期は助戸勧農すけどかんのう遺跡・和泉いずみ遺跡などのほか、菅田西根すげたにしね遺跡では斜縄文の土器や古式土師器を伴う竪穴住居跡群と方形周溝墓群、その低湿地からは名草川の水を引いた排水溝と水田跡が確認され、鍬・大足・横槌などが出土している。

古墳の築造は南部から始まり北部に発展、やがて群集墳が北部山麓地帯を主として南部の所々にも多くつくられた。前期古墳は、矢場川流域に東国最大級の前方後方墳藤本観音山ふじもとかんのんやま古墳、巴形透しの埴輪を出土した前方後円墳の浅間山せんげんやま古墳、神獣鏡や銅鏃を出土したという天王塚てんのうづか古墳などがあり、大和政権との関係が知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「足利市」の意味・わかりやすい解説

足利〔市〕
あしかが

栃木県の南西端,足尾山地の南麓から渡良瀬川中流域にある市。 1921年市制。 54年三重 (みえ) ,山前 (やままえ) ,北郷 (きたごう) ,名草 (なぐさ) の4村,59年富田 (とみた) 村,60年群馬県矢場川 (やばかわ) 村の一部,62年御厨 (みくりや) ,坂西 (さかにし) 2町をそれぞれ編入。中心市街地の足利は古代から交通の要地で,東山道の宿駅として重要であった。中世に源義康が足利氏を名のって居城,足利氏発祥の地となった。近世には戸田氏1万 1000石の陣屋がおかれた。絹織物の名産地として中世末期より知られ,江戸中期には工場制手工業も出現。 1889年に両毛線,1907年に東武鉄道伊勢崎線が開通し,足利銘仙の産地として関東機業地帯の一中心を形成。第2次世界大戦後は,縫製業に代ったが,機械部品,織機,ゴム,合成樹脂などの工業も盛んになり,繊維単一工業都市から脱皮。足利学校跡には旧金沢文庫本など多数の国宝の古文献や重要文化財がある。また,鑁阿 (ばんな) 寺も大御堂 (本堂) をはじめ重要文化財が多い。ともに史跡に指定されている。ほかに鶏足寺など古社寺が多くある。市域の一部は足利県立自然公園に属する。面積 177.76km2。人口 14万4746(2020)。

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