日本大百科全書(ニッポニカ)「足尾山地」の解説
足尾山地
あしおさんち
栃木県西部から群馬県東部にかけて横たわる山地。北はほぼ大谷川(だいやがわ)、西は渡良瀬川(わたらせがわ)に接し、東と南は関東平野に没する。夕日岳(ゆうひだけ)(1526メートル)、横根(よこね)山(1373メートル)、丸岩(まるいわ)岳(1127メートル)を連ねた主嶺(しゅれい)線の北西側は急傾斜し、南東側は傾斜が緩く、黒川、大芦(おおあし)川、思(おもい)川、永野(ながの)川などの渡良瀬川の支流が谷を刻み、谷底平野にはイネ、コンニャクイモ、サトイモなどが栽培される。山地は秩父(ちちぶ)系の古生層や花崗(かこう)岩などからなり、侵食階程は壮年期にある。山菅(やますげ)、会沢(あいさわ)、出流(いずる)などからドロマイト、石灰(せっかい)岩を産し、ドロマイトの産出はわが国最大を誇る。セメント、砕石も産し、山地斜面などにはスギ、ヒノキの植林も行われる。前日光(まえにっこう)、太平山(おおひらさん)、唐沢山(からさわさん)、足利(あしかが)の各県立自然公園があり、太平山には県立少年自然の家がある。北部の古峰神社(ふるみねじんじゃ)は、東北地方南部におもな信仰圏を有する。
[平山光衛]