足尾山地(読み)アシオサンチ

デジタル大辞泉 「足尾山地」の意味・読み・例文・類語

あしお‐さんち〔あしを‐〕【足尾山地】

栃木県西部から群馬県東部に広がる山地。北は大谷だいや中禅寺湖、西は渡良瀬川、東と南は関東平野で囲まれる。最高峰の夕日岳(標高1526メートル)をはじめ、1000~1500メートル級の山が南北に連なる。渡良瀬川に面する西斜面は急で、東斜面は緩やか。一部は日光国立公園に属する。

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精選版 日本国語大辞典 「足尾山地」の意味・読み・例文・類語

あしお‐さんちあしを‥【足尾山地】

  1. 栃木県南西部から群馬県東部にわたる山地。関東平野にゆるやかな斜面で接し、葛生(くずう)では石灰石を産出する。

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改訂新版 世界大百科事典 「足尾山地」の意味・わかりやすい解説

足尾山地 (あしおさんち)

栃木県南西部と群馬県東部にまたがる山地。北は大谷(だいや)川を境に日光火山群,西は渡良瀬川を境に奥日光山地や群馬県赤城火山などに接し,東と南は関東平野に没する。南北約45km,東西約30kmの四辺形を示す。最高点の夕日岳(1526m)は北端に近く,ここから横根山,丸岩岳,野峰,多高山,石尊山を連ねた主山稜は山地の西に偏し,南に漸次低くなる。渡良瀬川に面する西斜面は急で,南東に向かって緩傾斜しており,足尾山地は全体が東に傾く傾動地塊と考えられている。山地は主として古生代二畳紀~中生代石灰岩,チャート,砂岩粘板岩や花コウ岩などで構成される。マンガン鉱床が存在するが,今は採鉱されない。南東麓の葛生(くずう)地区には馬蹄形に石灰岩,ドロマイトが分布していて,セメント工場,製鉄用の生石灰工場などの石灰工業が行われる。山地内の谷底平野には水田が開け,コンニャクイモ,イチゴが栽培され,小規模ながら大麻も作られる。佐野市東部の石灰洞窟から発見された化石骨は葛生人として発表された。また,永野川の谷,栃木市星野では縄文時代の住居跡(星野遺跡)が発掘されている。江戸時代,この山地からきり出された用材が黒川などを通して搬出された。また,大芦川や黒川流域などで〈御用作人〉によるチョウセンニンジンが栽培され,また麻,ゴマ,エゴマ,ナタネなどを産した。山地内は景勝地が多く,日光連山の展望台といわれる前日光県立自然公園のほか太平山,唐沢山,足利の3自然公園が設定されている。太平山は平野に臨んで起伏に富み,陸の松島といわれ,唐沢山は藤原秀郷の居城があったところで,眺望〈13州に及ぶ〉といわれる。足利県立自然公園は織物の町足利市北方の丘陵性の山地にあり,関東高野山の別名がある行道山浄因寺,天然記念物の名草の巨石群などの名所が多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「足尾山地」の意味・わかりやすい解説

足尾山地
あしおさんち

関東平野北縁,栃木県群馬県の境にある山地。北は大谷川で日光火山群に,西は渡良瀬川で赤城火山に,南と東は関東平野に接する。最高点は夕日岳 (1526m) ,渡良瀬川側は急斜面,反対側は緩斜面をなす傾動地塊。山地の大部分秩父古生層で砂岩,粘板岩,頁岩,石灰岩などからなる。南部の葛生付近は昔から石灰の産地で,ドロマイト (白雲石苦灰石) を大量に産する。北部の足尾にはかつて日本有数の銅鉱山 (→足尾銅山 ) があったが,廃鉱となり,他の工場の誘致,および観光開発を進めている。栃木市北西部の出流 (いずる) の鍾乳洞は有名で,付近にはカルスト地形も発達。南部は足利県立自然公園唐沢山県立自然公園太平山県立自然公園に,北部は前日光県立自然公園に属する。

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百科事典マイペディア 「足尾山地」の意味・わかりやすい解説

足尾山地【あしおさんち】

栃木・群馬両県にまたがる山地。大部分が秩父古生層からなり,北西部が高く,南東に漸減する半円形状の傾動地塊で,主脈に地蔵岳(1274m),根本岳(1199m)などがそびえる。多くの銅鉱床,マンガン鉱床があり,足尾銅山などで採掘された。
→関連項目足利[市]粟野[町]鹿沼[市]桐生[市]群馬[県]佐野[市]田沼[町]栃木[市]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「足尾山地」の意味・わかりやすい解説

足尾山地
あしおさんち

栃木県西部から群馬県東部にかけて横たわる山地。北はほぼ大谷川(だいやがわ)、西は渡良瀬川(わたらせがわ)に接し、東と南は関東平野に没する。夕日岳(ゆうひだけ)(1526メートル)、横根(よこね)山(1373メートル)、丸岩(まるいわ)岳(1127メートル)を連ねた主嶺(しゅれい)線の北西側は急傾斜し、南東側は傾斜が緩く、黒川、大芦(おおあし)川、思(おもい)川、永野(ながの)川などの渡良瀬川の支流が谷を刻み、谷底平野にはイネ、コンニャクイモ、サトイモなどが栽培される。山地は秩父(ちちぶ)系の古生層や花崗(かこう)岩などからなり、侵食階程は壮年期にある。山菅(やますげ)、会沢(あいさわ)、出流(いずる)などからドロマイト、石灰(せっかい)岩を産し、ドロマイトの産出はわが国最大を誇る。セメント、砕石も産し、山地斜面などにはスギ、ヒノキの植林も行われる。前日光(まえにっこう)、太平山(おおひらさん)、唐沢山(からさわさん)、足利(あしかが)の各県立自然公園があり、太平山には県立少年自然の家がある。北部の古峰神社(ふるみねじんじゃ)は、東北地方南部におもな信仰圏を有する。

[平山光衛]

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