足利(読み)アシカガ

デジタル大辞泉 「足利」の意味・読み・例文・類語

あしかが【足利】[姓氏]

姓氏の一。源義家の孫、義康が下野しもつけ足利しょうを本拠として称した氏。
[補説]「足利」姓の人物
足利氏満あしかがうじみつ
足利成氏あしかがしげうじ
足利尊氏あしかがたかうじ
足利直冬あしかがただふゆ
足利直義あしかがただよし
足利政知あしかがまさとも
足利持氏あしかがもちうじ
足利基氏あしかがもとうじ
足利義昭あしかがよしあき
足利義詮あしかがよしあきら
足利義量あしかがよしかず
足利義勝あしかがよしかつ
足利義澄あしかがよしずみ
足利義稙あしかがよしたね
足利義輝あしかがよしてる
足利義教あしかがよしのり
足利義晴あしかがよしはる
足利義尚あしかがよしひさ
足利義栄あしかがよしひで
足利義政あしかがよしまさ
足利義視あしかがよしみ
足利義満あしかがよしみつ
足利義持あしかがよしもち

あしかが【足利】[地名]

栃木県南西部の市。もと宿場町。足利氏発祥の地で、史跡が多い。中世末以来、絹織物の主要産地。現在は繊維工業のほか、機械・化学工業も盛ん。人口15.4万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「足利」の意味・読み・例文・類語

あしかが【足利】

  1. [ 一 ] 栃木県南西端の地名足尾山地の南裾、渡良瀬(わたらせ)川沿岸にあり、古代には毛野(けの)国の中心地。足利氏発祥の地でもあり、中世から政治・文化の一中心地として発展。早くから絹織物は知られ、銘仙(めいせん)は特に有名であった。足利学校跡、鑁阿(ばんな)寺、織姫神社などがある。大正一〇年(一九二一市制
  2. [ 二 ] 栃木県の南西部にあった郡。明治二九年(一八九六)梁田(やなだ)郡を合併。大正一〇年(一九二一)以降、足利市佐野市、群馬県桐生市に順次編入され、昭和三七年(一九六二消滅

あし‐きき【足利】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あしぎき」とも )
  2. 足が十分に使えること、足をしっかりと立てること。また、その場所。足場。足立ち。
    1. [初出の実例]「馬の足ききよい所で候へば、いそぎわたさせ給へ」(出典:平家物語(13C前)七)
  3. 足の働きが優れていること。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「Axiqiqi(アシキキ)〈訳〉足の強い人や馬」(出典:日葡辞書(1603‐04))

あしかが【足利】

  1. 姓氏の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「足利」の意味・わかりやすい解説

足利(市)
あしかが

栃木県南西端にある市。1921年(大正10)市制施行。1951年(昭和26)毛野(けの)村、1953年山辺(やまべ)町、1954年三重(みえ)村、山前(やままえ)村、北郷(きたごう)村、名草(なぐさ)村、1959年富田村、1962年御厨(みくりや)町、坂西町を編入。古代からの交通の要地であり、東山道(とうさんどう)の宿駅として、足利駅の名は『延喜式(えんぎしき)』や『続日本紀(しょくにほんぎ)』にもみられる。足尾(あしお)山地の南麓(なんろく)で、渡良瀬川(わたらせがわ)の北岸に市街地が展開している。鉄道は1889年(明治22)両毛(りょうもう)線が開通し、県西部の機業、経済の中心となり、1907年(明治40)東武鉄道伊勢崎(いせさき)線が開通して東京と直結した。北関東自動車道が通じ、国道50号が東西の交通の要(かなめ)となっている。旧国道50号に沿って近代商店街が形成され、国道293号が市の東北部へ通じる。最近は市南部の開発が進み、足利市民プラザなどの施設のほか民間の工場も設置されている。北部の足尾山地からは小俣(おまた)川、松田川、袋川、旗川などが流下し、南には矢場川がありそれぞれ渡良瀬川に注ぐ。中世に源姓足利氏が足利郡、梁田(やなだ)郡に足利荘を領し、足利氏の発祥の地として居館を市内に置いた。近世には、宇都宮(うつのみや)藩の支族戸田氏1万1000石の陣屋が置かれ、機業地として発展した。中世末期以来、絹織物の名産地として知られ、江戸中期には工場制手工業が出現した。

 現在も繊維工業が盛んで、銘仙(めいせん)、着尺物、帯地類、人絹・人絹交織の広幅物の織物、撚糸(ねんし)、レース、横メリヤスなどを産する。一時盛況を呈したトリコット工業は衰微して、縫製業に転換しつつある。第二次世界大戦を境にして、機械部品、アルミ製品、ゴム製品、織機、合成樹脂などの機械、化学工業の生産が増加して、繊維の単一工業都市の性格は薄くなってきた。

 中世唯一の学校施設の足利学校跡、足利氏の居館跡の鑁阿寺(ばんなじ)(本堂は国宝)、中世寺院の遺跡である樺崎(かばさき)寺跡は国指定史跡、市中心部の織姫(おりひめ)山には花の名所として知られる織姫公園と足利織姫神社がある。また、栗田(くりた)美術館有田焼・鍋島(なべしま)の展示で有名。足利公園内には、画家田崎草雲ゆかりの草雲美術館がある。市街地北西の山地は、ハイキングに好適な足利県立自然公園である。面積177.76平方キロメートル、人口14万4746(2020)。

[村上雅康]

『前沢輝政著『新編・足利の歴史』(1983・国書刊行会)』『『近代 足利市史』5巻・別巻1(1975~1979・足利市)』


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改訂新版 世界大百科事典 「足利」の意味・わかりやすい解説

足利[市] (あしかが)

栃木県南西端にある市。1921年市制。人口15万4530(2010)。群馬県の桐生,太田,館林の各市,栃木県の佐野市などと境を接する。古代からの交通の要地で,東山道の宿駅として,足利駅の名は《延喜式》などにもみられる。中世には足利氏の発祥の地としてその居館,近世には戸田氏1万石の陣屋が置かれ,渡良瀬川の河港があった。中世末期以来,絹織物の名産地として知られ,江戸中期には工場制手工業が出現し,機業地として発展した。明治以後は1889年両毛線の開通後,県西部の機業・経済の中心地となり,1907年に東武伊勢崎線が開通して東京と直結し,足利銘仙(足利織物)の産地として全国的に有名となった。伝統の繊維工業では,銘仙,着尺物,帯地類と人絹・人絹交織の広幅物の織物と撚糸,レース,横メリヤスなどを産する。一時盛況を呈したトリコット工業は衰微して,縫製業に転換しつつある。第2次世界大戦を境にして,プラスチック,機械部品,アルミニウムなどの機械・化学工業が急速に発展し,総合的な工業都市となっている。国道50号線が幹線でバイパスが南部に開通しており,中心市街地は主として渡良瀬川の北岸,旧国道50号線に沿って商店街が形成されている。足利学校跡,足利氏の居館跡の鑁阿(ばんな)寺,西の丘上に織姫神社がある。2011年北関東自動車道が開通した。
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百科事典マイペディア 「足利」の意味・わかりやすい解説

足利[市]【あしかが】

栃木県南西端の市。1921年市制。足尾山地南麓と渡良瀬(わたらせ)川沿岸の低地を占め,佐野市,群馬県の桐生,太田の両市と境を接する。中心市街は古代毛野国(栃木・群馬)の一中心で,中世には足利氏発祥の地としてその居館が置かれた。絹織物の産地として知られ,江戸時代から桐生(きりゅう),八王子とともに関東三大機業地の一つに数えられ,明治以降は足利銘仙を多産した。第2次世界大戦後はトリコット生産が盛んであったが,現在はプラスチック,織機,染色機械などの工業が活発となった。両毛線,東武伊勢崎線,北関東自動車道が通じる。足利学校跡(史跡),足利氏居館跡の鑁阿(ばんな)寺(史跡)がある。東日本大震災で,市内において被害が発生。177.76km2。15万4530人(2010)。
→関連項目桐生織物両毛線

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旺文社日本史事典 三訂版 「足利」の解説

足利
あしかが

栃木県南西部,渡良瀬 (わたらせ) 川沿岸にある都市で,足利氏発祥の地
古くは東山道の駅が置かれ,平安末期に八条院の領する足利庄となった。足利氏が代々地頭職を世襲。鎌倉時代には足利学校が設けられた。江戸時代より絹織物が盛んになり,明治時代以後,関東北西山麓地方の機業地の中心として,桐生市と並び称せられる。1921年市制を施行。

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世界大百科事典(旧版)内の足利の言及

【足利織物】より

…関東各地の織物産出は《続日本紀》によって奈良朝以前までさかのぼりうるが,栃木県の足利が織物産地として名をなすのは18世紀半ば,とりわけ高機(たかばた)が普及した18世紀末以後のことに属する。先進地桐生(桐生織物)と同じ高級絹織物のほか大衆的な絹綿交織物と綿織物を盛んに生産し,19世紀に入ると桐生を離れて独自の市を開設した。…

【名字の地】より

…しかしその多くは地名化して位置も固定し,先祖開発の本領として屋敷が設けられたほか,先祖の祭祀・仏事の行われる祖廟や墓所などが設置される場合もあった。室町時代,足利将軍や鎌倉公方にとって下野国足利の地は先祖発祥の地であり,京都鎌倉御名字の地とよばれ鑁阿(ばんな)寺・足利学校が設けられるなど,特別視されている。【五味 克夫】。…

※「足利」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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