足利(読み)あしかが

精選版 日本国語大辞典 「足利」の意味・読み・例文・類語

あしかが【足利】

[一] 栃木県南西端の地名足尾山地の南裾、渡良瀬(わたらせ)川沿岸にあり、古代には毛野(けの)国の中心地。足利氏発祥の地でもあり、中世から政治・文化の一中心地として発展。早くから絹織物は知られ、銘仙(めいせん)は特に有名であった。足利学校跡、鑁阿(ばんな)寺、織姫神社などがある。大正一〇年(一九二一市制
[二] 栃木県の南西部にあった郡。明治二九年(一八九六梁田(やなだ)郡を合併。大正一〇年(一九二一)以降、足利市・佐野市、群馬県桐生市順次編入され、昭和三七年(一九六二)消滅。

あし‐きき【足利】

〘名〙 (「あしぎき」とも)
① 足が十分に使えること、足をしっかりと立てること。また、その場所足場。足立ち。
平家(13C前)七「馬の足ききよい所で候へば、いそぎわたさせ給へ」
② 足の働きが優れていること。また、そのもの。
日葡辞書(1603‐04)「Axiqiqi(アシキキ)〈訳〉足の強い人や馬」

あしかが【足利】

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デジタル大辞泉 「足利」の意味・読み・例文・類語

あしかが【足利】[地名]

栃木県南西部の市。もと宿場町。足利氏発祥の地で、史跡が多い。中世末以来、絹織物の主要産地。現在は繊維工業ほか機械化学工業も盛ん。人口15.4万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「足利」の意味・わかりやすい解説

足利[市] (あしかが)

栃木県南西端にある市。1921年市制。人口15万4530(2010)。群馬県の桐生,太田,館林の各市,栃木県の佐野市などと境を接する。古代からの交通の要地で,東山道の宿駅として,足利駅の名は《延喜式》などにもみられる。中世には足利氏の発祥の地としてその居館,近世には戸田氏1万石の陣屋が置かれ,渡良瀬川の河港があった。中世末期以来,絹織物の名産地として知られ,江戸中期には工場制手工業が出現し,機業地として発展した。明治以後は1889年両毛線の開通後,県西部の機業・経済の中心地となり,1907年に東武伊勢崎線が開通して東京と直結し,足利銘仙(足利織物)の産地として全国的に有名となった。伝統の繊維工業では,銘仙,着尺物,帯地類と人絹・人絹交織の広幅物の織物と撚糸,レース,横メリヤスなどを産する。一時盛況を呈したトリコット工業は衰微して,縫製業に転換しつつある。第2次世界大戦を境にして,プラスチック,機械部品,アルミニウムなどの機械・化学工業が急速に発展し,総合的な工業都市となっている。国道50号線が幹線でバイパスが南部に開通しており,中心市街地は主として渡良瀬川の北岸,旧国道50号線に沿って商店街が形成されている。足利学校跡,足利氏の居館跡の鑁阿(ばんな)寺,西の丘上に織姫神社がある。2011年北関東自動車道が開通した。
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旺文社日本史事典 三訂版 「足利」の解説

足利
あしかが

栃木県南西部,渡良瀬 (わたらせ) 川沿岸にある都市で,足利氏発祥の地
古くは東山道の駅が置かれ,平安末期に八条院の領する足利庄となった。足利氏が代々地頭職を世襲。鎌倉時代には足利学校が設けられた。江戸時代より絹織物が盛んになり,明治時代以後,関東北西山麓地方の機業地の中心として,桐生市と並び称せられる。1921年市制を施行。

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世界大百科事典(旧版)内の足利の言及

【足利織物】より

…関東各地の織物産出は《続日本紀》によって奈良朝以前までさかのぼりうるが,栃木県の足利が織物産地として名をなすのは18世紀半ば,とりわけ高機(たかばた)が普及した18世紀末以後のことに属する。先進地桐生(桐生織物)と同じ高級絹織物のほか大衆的な絹綿交織物と綿織物を盛んに生産し,19世紀に入ると桐生を離れて独自の市を開設した。…

【名字の地】より

…しかしその多くは地名化して位置も固定し,先祖開発の本領として屋敷が設けられたほか,先祖の祭祀・仏事の行われる祖廟や墓所などが設置される場合もあった。室町時代,足利将軍や鎌倉公方にとって下野国足利の地は先祖発祥の地であり,京都鎌倉御名字の地とよばれ鑁阿(ばんな)寺・足利学校が設けられるなど,特別視されている。【五味 克夫】。…

※「足利」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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