跡形無い(読み)あとかたない

精選版 日本国語大辞典 「跡形無い」の意味・読み・例文・類語

あとかた【跡形】 (も)無(な)

① 何かがあったという様子が全くない。形跡がない。痕跡もない。
※浜松中納言(11C中)三「住み給ひし家などのあとかたもなくなり」
② わけがわからない。筋道が立たない。
拾遺愚草(1216‐33頃)上「秋の夜は雲路をわくる雁がねのあとかたもなく物ぞ悲しき」
根拠がない。根も葉もない。
東寺百合文書‐は・建治二年(1276)七月一四日・阿性房静俊陳状「東山女房に無跡形申付無実て煩せ候之由被訴申候」
浄瑠璃女殺油地獄(1721)中「おかちに入婿取といふは跡かたもないこと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「跡形無い」の意味・読み・例文・類語

あとかた‐な・い【跡形無い】

[形][文]あとかたな・し[ク]
以前そこにあった事物がすっかりなくなっているさま。跡形もない。「―・く焼失した」
わけがわからない。また、根拠がない。
「あはれ、これ程―・き事を仰せ候御事は候はず」〈義経記・七〉

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