輪島町(読み)わじままち

日本歴史地名大系 「輪島町」の解説

輪島町
わじままち

北流する河原田かわらだ川と鳳至ふげし川が合流し、輪島川となって日本海に注ぐ。これらの川の流域一帯をさす。往古鷲の悪鳥が住んだことから鷲魔わしまとの地名がついたとの説がある(能登名跡志)

応永二二年(一四一五)二月五日の銘がある鳳至比古神社住吉大明神建立棟札の写(「住吉神社御祭定書帳」住吉文庫)に「大屋庄輪島親湊鳳至町」とみえ、輪島の湊はおや湊と称した。天正九年(一五八一)九月一八日書写の廻船大法(内田敬三氏旧蔵文書)に「七湊」の一として「輪島」がみえ、「ヲヤ小屋なり」の注記がある。幸若舞曲信田」に「おやのみなと」、古浄瑠璃「ゆみつき」にも「おやのみなと」がみえる。なお厳密には近世輪島崎わじまざき村の港をさし、「信田」に登場する信田の小太郎ゆかりと伝える腰掛石が同地の先端に残る。

天文四年(一五三五)三月付の温井孝宗像賛(栗棘庵蔵)に「輪嶋之庄」とみえる。「私心記」同一八年八月六日条に「ソト能登ワジマサウメン」とみえ、索麺の産地として知られていた。「御湯殿上日記」永禄五年(一五六二)一一月二三日条にも「りんたうそめん一はこまいる」とみえ、りんたうとは輪島のことである。「伊勢貞助雑記」にも能登守護畠山氏より輪島索麺が進上されたことがみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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